第一話
0
[2]次話
その時、彼に問い掛ける声があった。
彼は薄れ行く意識の中、その声がこの世ならざる者の声だと理解した。
だが、それが何処からくるものか分からなかったが、次の問い掛けは確りと聞き取れた。
- 何故、汝は死のうとするや? -
彼はその問いに心の中で答えた。自分には何もなく、この世には何もないのだと。
- 我が傍らにあれ。我が汝に力を貸そう。我と共に生きる気はあるか? -
その問いに、彼は何と答えるべきか分からなかった。それは悪魔の甘言か、はたまた神の導きか…彼は迷った。
そんな彼に対し、声の主は自らをこう名乗った。
- 我が名はメフィストフェレス。在りし日へ還ることを願い続ける者。 -
彼は途切れそうな意識の中、なぜ自分を助けようとするか問った。すると、メフィストと名乗るそれはこう答えた。
- 汝は地獄に堕つる者ではない。 -
その哀しげな声に、彼はメフィストの伝承を思い出した。それ故に、彼はこう答えた。
「生きよう…。」
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ