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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、二人を見守る
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りな人形遣い《パペットマスター》───のことが気掛かりになっていて、会話に集中できていなかったのは確かだ。
結果、突然話題を振られたことで、不意を打たれる形となってしまう。

「……ユノさん、まさか聞いてなかったんですか?」
「い、いや、そんなことは。 ……まあ、日は延びてきたよね、うん。もう6月だし」
「違いますよ!やっぱり聞いてなかったんじゃないですか!」
「う、ごめんなさい……」
何とか誤魔化そうとしたものの、あっけなくバレてしまったため、素直に謝罪する。
「明るくなった」という彼女の言葉から、最近は日の落ちるのが遅くなったという話かと思ったのだけれど、まったくの的外れだったらしい。

「いやその、なんというか、ごめん。僕が悪かったよ」
「別に、いいですけど〜」
拗ねたように頬を膨らませるルシェを見て、少し反省。
今度から人と話している時は、考え事をするのはやめておこう。

「えーっと……、それで、何の話だったの?」
「もう。サチのことですよ、サチの。あの子、最近明るくなったというか、ちょっと元気になったと思いませんか?」
「ん、そうなの?」
「そうですよ!親友のあたしが言うんだから間違いないです!」
ドヤ!といった具合で胸を張るルシェ。
どうやらサチの親友というポジションは、彼女にとって何よりの自慢であるらしい。

「……やっぱり、あれかな。あの人が入ったお陰なのかな」
「あの人?」
あの人、とは。一体誰のことを指しているのか、僕には見当がつかなかった。
ルシェの言い方からして、サチと同じギルドのメンバーだということは、なんとなく察しが付いたけれど。

「えっとですね……、ユノさんは知ってましたっけ、サチのギルドに入った男の人の話」
「そういえば、言ってたね。すごく強い人が入ったって」
少し前に聞いた話によれば、サチの所属するギルド《月夜の黒猫団》に、新たなメンバーが加わったらしい。
相手は待望の片手剣使いで、それも黒猫団のメンバーと同じくらいのレベル帯であるにも関わらず、前衛としての実力はかなりのものであるという。
彼らとレベルがそう変わらないということは、単純にプレイヤースキルが高いのかもしれない。
何にせよ、前衛が不足していた黒猫団にとって、彼の加入はまさに渡りに船といったところだろう。

「……サチ、結局今でも前衛やらされてるみたいで。あたし、結構心配してたんです。あの子、あたしと同じくらい怖がりだから」
サチの所属するギルド《月夜の黒猫団》は、いずれは攻略組の仲間入りすることを目標としているらしい。
今はまだ中小ギルドの域を出ないものの、例の剣士の加入を切っ掛けに、以前より本格的な狩りに乗り出すようになったのだそうだ。

「無理して明るく振る舞ってるけど、本当はすご
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