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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、二人を見守る
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というから、そういったところで気が合うのかもしれない。

「ユノさん、あたしは? あたし、ずっと敬語で話してるんですけど!」
「ん?」
そんな僕とサチの遣り取りに、彼女の隣で聞いていたルシェが割り込む。何故か切羽詰まったような顔をしていた。

「今日初めて会ったサチが呼び捨てでいいなら、あたしもいいですよね!?あたしのほうが一応、付き合い長いですし!」
「いや、別に、ルシェがいいなら僕は構わないけど」
「えっ? えっ、えっと……」
僕は敬語を強要した覚えはない……というか、もともと人から敬語を使われるのは苦手だったりする。
最初に出会った時の彼女は、死にそうになった恐怖から泣きじゃくっていて、そんな話をする雰囲気でもなかったし……。
かといって、今更言うのもなんだろうと思って、特に何も言わずにいたのだけれど。

「じゃあ、ユ、ユ………うう、やっぱ無理! あたしは今まで通りでいいです!」
「?」
別に呼び捨てでも構わないと言うと、ルシェは僕の顔を見ながら名前を呼び───かけて、途中でやめた。
今までずっと敬語で話していたのだし、今から変えようとしても違和感があるのかもしれない。
まあ、彼女が呼び捨ては無理だと思うなら、それはそれでいいだろう。
ルシェはずっとああいう話し方だったので、敬語を使われているとはいっても、僕も気を遣わずに済んでいるわけだし。

「わかりやすいなぁ……」
「サチ、うるさい!あたしはこれでいいの!」
「えー。だってルシェ、私と話してる時はいつも───」
「あああああ!変なこと言わないでよ!ユノさんの前でその話は禁止!」
「そういうところがわかりやすいんだよ……」
親友というだけあって、向かいの席に座る二人の会話は、傍で聞いていても楽しそうに思える。
サチという気の置けない相手が一緒だからか、顔を赤くしながらきゃーきゃーと騒いでいるルシェは、いつも以上に溌剌として見えた。


────────────


僕は迷宮区の攻略。サチはギルドメンバーとの狩り。
お互いに空き時間が合わないことも多く、直接会った回数こそ少なかったものの。
その後もサチとは、それなりに友好的な関係を築くことが出来ていた。
もちろん、紹介者であるルシェも含めて、だ。


「だからさぁ、そんなの向こうの勝手な言い分でしょ!なんでそんな危ない役目をサチに押し付けるわけ!?サチも断ればいいのに!」
「でも……」
「でもじゃない!サチみたいな女の子に前衛やらせて、自分達は横から安全に戦おうなんて、そんなの───」
そんな日々が続いた、ある日。
サチが思いつめた表情で相談事を持ち掛けてきたことがあった。

パーティに前衛が不足しているため、ギルドのメンバーから盾持ちの片手剣士に転向するように言
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