第13話:新体制の幕開け−1
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を害するのではと心配していたフォッケは密かに安堵の吐息をもらした。
「では、今日の本題を片付けてしまいましょうか。
私はともかくあなたたちは忙しいでしょうからね」
「いやいや、議長だってお忙しいでしょうに」
「そんなことはないわよ。 統幕議長なんて大層な肩書は頂いているけどね、
実際には半分引退しているようなものだもの」
「またそんな・・・」
ミゼットがソファから立ち上がって自分のデスクに向かうと、
その背を追いかけるようにゲオルグも立ち上がる。
そして2人はデスクを挟んで向かいあう。
一瞬ゲオルグに笑って見せたミゼットはデスクから1枚の厚手な紙を取り上げた。
その様子を見ていたゲオルグはビシッと背を伸ばして直立不動の姿勢をとる。
「シュミット2等陸佐。 貴官を1等陸佐に昇進させ、引き続き特殊陸戦部隊の
部隊長に任じます。 従前にも勝る活躍を期待します」
「はっ、議長閣下の御期待にお応えできるよう精進いたします」
殊更固い口調でそう言うと、ゲオルグは深めに頭を垂れて
ミゼットが差し出している紙を受け取った。
そしてそこに書かれている文字にサラっと目を通すと、顔をあげて
ミゼットの方に目を向ける。
「頼むわね。頼りにしているのだから」
「お任せ下さい、閣下」
ゲオルグとミゼットはお互いの顔を見合わせると揃って不敵な笑みを浮かべた。
特殊陸戦部隊分の辞令交付が終わってからミゼットの部屋を辞去した
ゲオルグとフォッケは、再び車に乗って今度は隊舎に向かって移動していた。
2人とも無言で外の景色を見ていたが、道のりの半分ほどが過ぎたところで
ふとゲオルグがフォッケの肩を叩いた。
「なんですか?」
「階級章、これに付け替えとけ」
「はい?」
ゲオルグの言葉の意味を掴みかねて首を傾げるフォッケであったが、
ゲオルグが差し出している階級章を受け取り、その姿をしばらくじっと見つめてから
ふいに目を見開いてゲオルグの方に顔を寄せた。
「これ、2尉の階級章じゃないですか!? まさか、僕も昇進ですか??」
「そうだよ。まあ、仕事はほとんど変わらないけどな、フォッケ2尉」
「いや、でも、僕が2尉だなんて・・・。分隊長の皆さんより
上位になっちゃうじゃないですか。それはさすがに・・・問題ありませんか?」
「なんでだよ? お前と実戦部隊の分隊長たちじゃ仕事が全然違うんだから
何も問題ないよ」
「しかし、僕はまだまだ経験も足りませんし・・・」
「んなことは判ってるよ。 でもお前、今日で士官学校を出て丸2年だろ。
士官学校卒の人間は1尉になるまで2年に1回の定期昇進ってのが
管理局のルールなんだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ