第13話:新体制の幕開け−1
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そしてゲオルグが2人に向かって声を掛けよう口を開きかけたとき、
ゲオルグの前に通信画面が開いた。
「部隊長、そろそろ本局へお出かけになる時間です。
玄関前に出迎えの車も到着しておりますので」
通信画面の向こうで神妙な表情を浮かべてゲオルグに声を掛けてきたのは
指揮所にいるフォッケであった。
「判った、玄関で落ち合おうか」
「了解です」
通信画面の中のフォッケが敬礼しながらそう答えると、ゲオルグの前から
通信画面は消えた。
そしてゲオルグは眉間にしわをよせ、眼前に立つ2人に向かって苦笑した。
「悪いけど、もう出なきゃいけないみたいだ。続きは午後にだな」
「はい。 私も分隊のみんなと顔合わせをしておかないといけませんしね」
そう言ってティアナは微笑む。
「あんたねぇ、自分の予定くらい自分自身で把握しときなさいよ」
一方、エリーゼは呆れたように肩をすくめて首を横に振った。
「はいはい。 じゃあ、またあとでな」
ゲオルグは姉の言葉に軽く手を振って応じると2人に別れを告げて
椅子の背に掛けてあった制服のジャケットを着込む。
そして部屋を出ると隊舎の玄関へと向かって歩き出した。
通路を行くゲオルグに向かってすれ違う部隊員たちが敬礼するのに対して
ゲオルグは少し崩した形で答礼しながら数分かけて玄関へとたどり着いた。
隊舎の内と外を隔てる扉の内側には、しきりに左腕の時計を気にするフォッケが
ぽつんと独りで立っていた。
「すまん、待たせた」
ゲオルグが声を掛けると、フォッケは顔を上げてゲオルグの方に歩み寄ってくる。
「いえ」
フォッケの短い答えに頷くと、ゲオルグは扉越しの外の景色に目を向ける。
5段ほどの短い階段を降りた先に黒塗りの公用車が止まっており、
その脇にはきっちりと茶色の制服を着込んだ若い局員が直立不動で待っていた。
「それじゃあ、行こうか」
「はい」
そして二人は扉を開けて隊舎の外に出る。
春の生温かい陽気に包まれつつ、二人は5段の階段を降りて車の脇に立つ
若い局員の前で立ち止まった。
「待たせてすまない」
「いえ、どうぞ」
そう言って若い局員は車の後部座席のドアを開けた。
先にゲオルグ、続いてフォッケが乗り込むと静かにドアが閉められた。
ドアを閉めた局員が車の後方をぐるっと回って運転席に座ると、
車は僅かな音を立てて静かに走り出した。
港湾地区の広い道路を5分ほど走ると、車はクラナガンを放射状に走る
高速道路のうちの1本にのっていた。
通勤時間帯を過ぎた都心に向かう道路には少ないとは言えないまでも
渋滞するほどの交通量はなく、ゲオルグたちを乗せた車は快調なペースで
都心に向かっ
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