空白期 中学編 13 「見破る? キリエ」
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ずかしさのあまり放心状態にまで発展する恐れがあるからな。というか、これ以上フェイトにも影響するような言葉を言うつもりなら俺ももっと強い言葉を口にする。
「そんなにムスッとしたら可愛い顔が台無しよん」
「…………」
「冗談よ、分かったから怒りを静めて。W・I・Sよ」
最後ので余計に苛立ちを覚えるんだが。お前、別に事態を収拾するつもりないだろ。まあなるようになるだろうくらいでやってるんだろ。言っておくけどな、周りの奴はお前が思ってる以上に迷惑してるんだぞ。
「ところでハラオウンさん」
「え、こ、今度は何!?」
「あ、どうどう。あんまり買ってもないものをクシャクシャにするのは良くないわよ」
フローリアンの言葉にフェイトは自分の手の中にある服へと意識を向ける。彼女が強く握り締めたり、顔を埋めたりしていたせいか、近くにある同種のものと比べるとしわが入ってしまっている。
今の指摘は正しかったわけだが、このようになってしまった最大の原因はフェイトよりもフローリアンにあるように思える。
「あららん、見事にしわが入ってるわね。お店の人に謝るの?」
「ううん……買うよ。元々買おうかなって思って見てたし。ありがとう教えてくれて」
「いえいえ、別にお礼を言われることはしてないわ」
そのとおりだ。フェイトが感謝する必要性は全くない。もしも今、「それほどでも」などと言っていたならば、俺はツッコミを入れていただろう。
「というか、それの代金は私が出すわよ」
「え、いいよ」
「いいからいいから。私にも原因はあるし、こっちに来たばかりで仲の良い子も少ないからね。お近づきの印ってことで」
フローリアンのまさかの発言に俺は固まってしまう。
この場を掻き回すだけ掻き回して放置するかと思ったが、意外にもまともな部分もあるんだな。それなりには善い心も持ってるってことだな。まあそうじゃないからはやてやシュテルに近いものを感じたりはしないか。あいつらは本気で怒らせるようなことはしないし。故にある意味性質が悪い。
意識をふたりのほうに戻してみると、フェイトが遠慮気味の表情を浮かべていた。まあ親しい間柄でもない相手に奢られるのは、彼女の性格ならば抵抗を覚えるのでおかしくはない。
だがしかし、フローリアンは気にした様子もなく笑顔のままフェイトに近づいて話しかける。
「まあまあ遠慮しないで」
「だけど……」
「じゃあこうしましょう。ひとりで買い物に来てたってことはこれといって予定はないんでしょ? 私の買い物に付き合ってくれないかしら?」
……何やら予想していなかった方向に話が進み始めたぞ。
俺と似たような感想を抱いたのか、フローリアン越しにフェイトと視線が重なる。とはいえ、ここで俺までフェイトを誘うとまた
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ