第02話 処女航海
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れ」
視線を司令官と同じ方向に向ける。確かに約15キロ先に5隻の船が見える。船は私の進行方向と同じ方向に向かって進んでいる。つまり、彼ら5隻の後ろを私の船が追っている形だ。しかし……。
「5隻確認した。……しかし、アレは帆船ではないか」
何故、今の時代に帆船が?と思う。しかも、全長がおよそ100メートルを超えるような大型帆船が5隻も。
「確認だが、帆船があるのはやはりおかしいか?」
私の訝しげな声を聞いたのか、司令官が聞いてくる。
「おかしい。私に持つ知識では、大戦中や深海棲艦戦中に帆船に相対した事など一度もないし、帆船なんてかなり古い技術のモノで、もはや骨董品と呼ばれるものだ。第一、アレでは深海棲艦に太刀打ち出来まい」
木製の船体を見て、アレでは深海棲艦の攻撃によって一撃で粉々になってしまうだろうと予想する。更に帆船の周辺に護衛駆逐艦や潜水艦などが隠れていないか探ってみるが、5隻の帆船以外に船影は見当たらない。
謎の船団に少しずつ近づき、観察を続ける。甲板には、何かの作業をしている人達が忙しなく動き回っているのが見える。
「一応あの船に乗っているのは人類のようだが……。帆に“MARINE”と表記してあるのが見える、アメリカだろうか? 上にある、文字の上にあるMのマークは初めて見るが……。長門、君の知る限りで今の日本とアメリカとの関係は?」
司令官が観察を続けながら、声を漏らす。そして私に向けた司令官の言葉の通り、帆船の帆の部分に青い文字でMARINEと書かれているのが見える。私も司令官と一緒になって船を観察しながら、彼の疑問に答える。
「日本とアメリカとの関係については、表面上は友好的で敵対関係ではないはずだ。深海棲艦との戦いで、日本もアメリカもかなり疲弊しているから、今は人類同士で戦う余力がない。特に日本はな……」
司令官が顎に手を当て考える。人や資源を求めて海へ出てみたが、最初に出会ったのは過去に敵だった人達の船かもしれない言うことで、連絡を取るか迷っているのだろう。
「……休んでいる艦娘達は全員甲板に出てもらい、何時でも出撃できるように通達してくれ。それから、あの船に無線で連絡を試みてくれ」
「了解した」
司令官はじっくり十秒考え方針を決めたのか、顎に手を当てるのをやめて私に向けて命令を下す。伝声管で休んでいた艦娘達に出撃準備を指示してから、次に無線通信を試みる。だが、幾つかの周波数で通信を試みるが返信はない。そして、向こうの船に変化はない。
「長門、空砲を撃って相手の反応を見よう」
船の観察を続けていた司令官に無線通信が不可能なのを報告すると、次の手を指示される。空に向けて空砲を撃つということは、相手に敵対心無しを伝えるためだろう。指示通り、41cm連装砲を管理している妖精
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