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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十二幕 「当方に迎撃の用意あり」
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部分が「彼女は決して敵ではない」と確信的な感情を抱いている。自身の今までには抱きえなかった感覚に簪は戸惑いを覚えた。
何より、他人の感情や雰囲気をこれほど濃厚に感じられることが不思議な感覚だった。

そんな簪の戸惑いに反し、ユウは既にやる気満々で拳を翳す。
その拳が量子化の光に包まれ――次の瞬間、桜色の閃光が駆け抜けた。

「先手必勝!」
「ちょ……生身相手にいきなりIS使っちゃうの!?お母さん息子のバイオレンスな一面にびっくり!!」
「勝手に人の母親の名前を語るなっちゅーの!!」

最初の正拳突きを身を翻して躱すくノ一に合わせて回し蹴り。それを受け止めるように足を合わせたくノ一の足に、量子化の光が瞬いた。ガキィン!!と金属同士がぶつかり合う異音が響いた。
音の正体、くノ一の足を覆う甲冑のような装甲を、ユウは眉一ず動かさずに見つめた。

「……やっぱり持ってたんだ、IS」
「そりゃユウちゃんと遊ぶには必要でしょ?最初はユウちゃんが全然ISを使わないから私も使わなかったけど、どうやら今度はやる気になったみたいだし!」
「…………」
「…………」
「え?2人してなにその無言。無視って邪険に扱われるより気まずいんだけど」

……最初の襲撃時にユウがISを持っていないという致命的かつ間抜けすぎるミスを犯したことには気付いていないらしいくノ一。そんなつもりはなかっただろうが地味にユウの心とプライドを抉っている。足を弾いて距離を取りながらユウはその羞恥の顔を必死で誤魔化したし、簪もユウの名誉のために努めて冷静な風を装った。
まさか今から真剣勝負するときになって「実は部屋に忘れてきてただけでした!」などと恥ずかしくて言える筈もない。こんなことを言ってしまえば空気ぶち壊しもいいところだし、相手に変な弱点を与えてしまう事になりかねない。この真実は青春の一ページとしてこっそり仕舞っておくのが正解だ。

幸いにもくノ一はその件については勘付かなかったらしく、話題は別の方向へむかった。

「それで、そっちの眼鏡っ子ちゃんは参加するの?しないの?しないんなら怪我しないようにとっとと帰って欲しいんだけど。あんまり中途半端に出て来られても不愉快なだけだし邪魔だもの」

酷くフラットで、氷が滑るように冷え切った声が、殺気とも威圧感とも知れない重圧として簪にぶつけられる。構う価値もない、すぐさま失せろと空気が告げる。その威圧感には覚えがある。
本気を出した楯無――怒った父――ユウを守る時のジョウ――そんな、人生で出会った「勝てない敵」の纏うそれ。微かに指が震え、踵が地面を離れて後ずさりそうになるほどの本能的危機感。圧倒的な場数と実力の差をそれだけで察せるほどに高い壁を、直ぐに理解した。

だが――引けない!

「……ッ!……打鉄弐
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