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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第百十二幕 「当方に迎撃の用意あり」
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のタイミングなのだ。
逃げれば何も選べない。大人を刈り出しても得られるものは少ないだろう。だからこそ打って出て相手の目的やデータを収拾する。ただ追い払うだけなら簡単だが、相手の要望にも応える程度の隙を用意しつつ戦うには、教師陣にこの話をしない方が都合が良かった。
ユウは拳を握りしめ、真剣なまなざしで簪を見る。
「これは唯の自衛じゃない、情報戦でもあるんだ。ここで黙って引き下がって何も得られないんじゃ僕だって自分に納得できない。このままあの人に心まで負けたままじゃ駄目なんだ……!!」
自分が弱いことを認めるのは別にいい。でもあれだけ言いたい放題言われて身も心も打ち負かされたまま何もしないのでは、ユウはユウでなくなってしまう。努力に努力を重ねて積み上げた自分を自分で否定する気はユウには更々ない。
譲れない一線。そこに妥協を挟むような男ならばユウは今まで兄を追いかけられていないだろう。だからこそ残間結章という男は自己を保っていられるのだ。
が、そんな彼の本音(のほほんじゃないよ)を聞いた簪はジトっとした目線をユウに送った。
「……私怨丸出し」
「うっ……!」
「自分勝手、自己中心的」
「ううっ……!!」
「猪突猛進………いのしし馬鹿」
「うぐっ………!?」
前にもこんなやり取りしたような、とデジャヴを感じる。(第六三幕参照)
要は負けず嫌いに理由が附属しただけである。そんなリスクが高い割に独りよがりな作戦に親友を突き合わせるなどとてもではないが褒められた内容ではない。ムシが良すぎたか、とユウは項垂れる。だがそんな彼に予想外の言葉がかかった。
「でも、いいよ……付き合う」
「えっ!?ほ、本当!?」
一応言っておくと別に付き合うの意味を勘違いしたりと言う思春期な事はしていない。
「ただし」
「ただし?」
びしっとユウに指を突きつけた簪は、ちょっと恥ずかしそうにこう続けた。
「貸しひとつ。夏休み内に……倍にして返すこと。……宿題」
「ば、倍って言われても………何をどうやってだい?」
「それは、自分で考えて。そして準備が出来たら……誘って」
「ハードル高い宿題だなぁ……こんなにきついのは兄さんのせいで宿題やってない事に気付いた夏休みの終わり以来だ」
正解のない課題と言うのはどんな難題にも勝るとも劣らない。とりあえず後で皆が帰ってきたら相談してみるか、と決めたユウは、条件付きとはいえ自分の無茶に付き合ってくれると言ってくれた親友に頭を下げた。
「全身全霊を尽くすって約束するよ。お返しも戦いも両方だ」
「それでこそ、ユウ。そんな前向きなユウが……私は好き」
「え」
さらりとそう言ってはにかんだ簪の笑顔……その天使のような微笑みに、ユウは「好き」と言う発言も相まって
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