第四十二話 近付く真実その十五
[8]前話 [2]次話
「ここはな」
「それじゃあ」
「それからだな」
裕香を降ろしてからだった、まずは。
「この連中とやり合うのは」
「そうですね、裕香さんは戦う立場にはおられません」
桜も言った、ここで。
「それでは」
「ちょっと待ってくれよ」
薊は怪人達に言った。
「裕香ちゃん降ろすからな」
「そうすることだ」
「それから二人共叩き潰してやるからな」
怪人達は薊の言葉を受けてこれまでよりも強い声で告げた。薊と桜も次第にスピードを遅くしてそうしてだった。
停車してだ、そのうえで裕香に言った。
「じゃあここでな」
「少し待っていて下さい」
「終わったらすぐに戻るからさ」
「暫くの間は」
「わかったわ、ここでね」
裕香も二人に対してヘルメットを脱いで手に持ってから応えた。
「待ってるから」
「終わってからな」
「街に行きましょう」
「楽しみにしてるわね」
微笑みそのうえでだ、二人にこうも言った。
「それで三人で何か食べよう」
「あたし牛丼がいいな」
薊は笑って冗談混じりに返した。
「食うんだったら」
「牛丼ね」
「ああ、吉野家のな」
その店の牛丼をというのだ、大手牛丼チェーンでありその味には抜群の安定感があり実にいい店である。
「あそこの特盛に卵入れて紅生姜も入れて」
「いいわね、それ」
「ああ、じゃあな」
「牛丼食べに行こうね」
「では私も」
桜も声を微笑まさせて言って来た。
「牛丼を」
「桜ちゃんもなのね」
「実は牛丼も好きでして」
「あっ、そうなの」
「よく召し上がります」
「何か桜ちゃんのイメージじゃないけれど」
大店の跡継ぎ娘だ、それでお嬢様というイメージがあるから言ったのだ。
「けれど好きなら」
「それではですね」
「三人で行こうね」
「じゃあ牛丼の前にな」
薊は笑顔でだ、停車して待っている怪人達にも言った。
「やるか」
「牛丼か」
「おい、随分余裕だな」
「余裕っていうかな」
薊は怪人達の返し言葉にその笑顔を不敵なものにさせてさらに言った。
「自信があるからだよ」
「勝つ自信がか」
「そして生き残る自信があるんだな」
「そうさ、勝つからな」
こう言うのだった。
「幾らあんた達が強くてもな」
「でははじめましょう」
桜も怪人達に言う。
「これから」
「行くぜ」
薊は再びヘルメットを被った、桜も。そのうえで怪人達との街道での戦いに入るのだった。
第四十二話 完
2014・12・12
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ