第四十二話 近付く真実その十四
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「来たわ」
「そうか」
「うん、二台そして」
「見てるよ」
薊はバイクのミラーを見つつ裕香に答えた。
「ちゃんとな」
「あっ、そうね」
「バイクってのは車とまた違ってさ」
「ミラーはね」
「ハンドルのところにあるんだよ」
車よりもミラーが近い場所にあるのだ。
「だからあたし達の方でもな」
「見えているのよね」
「ああ、けれどな」
それでもとも言う薊だった。
「教えてくれて有り難うな」
「一緒にいるから」
「そのことはか」
「うん、当然だから」
「そう言ってくれるんだな」
「駄目かしら」
「いいさ、っていうか何か色々助けてもらってるな」
薊はバイクを飛ばし続けながら裕香にこうも言った。
「本当に悪いな」
「だからそうしたことは」
「言わないでっていうんだな」
「気にしないで」
裕香はこう薊に返した、そうした話をしていると。
その二台のバイクがそれぞれ薊と桜のバイクを左右からサンドイッチにする様にして来た、二車線の道がそれで一杯になった。
右には犀、左には針鼠の怪人がいた。その怪人達がだ。
薊達に顔を向けてだ、こう言ったのだった。
「おい、そこの娘はな」
「俺達は何の興味もないんだよ」
裕香を見ての言葉だ。
「だからさっさとな」
「降ろせ」
「巻き添えにする趣味はない」
「そっちがいいっていうんなら別だけれどな」
「へえ、そう言ってくれるんだな」
薊はバイクを走らせつつ怪人達に応えた。
「紳士っていうのかね」
「紳士でも何でもない」
「俺達は興味の外の相手には何もする趣味はないんだよ」
「だからだ」
「そこの娘はさっさと降ろせよ」
バイクからというのだ。
「いいな」
「早くしろ」
「じゃあ裕香ちゃん」
薊は怪人達の言葉を受けて裕香にも言った。
「いいかい?」
「うん、ここはね」
「降りてくれるか」
こう裕香に言うのだった。
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