明日への翼
03 ……AFTER〜 天上界にて
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頬を染め俯いている。
こうすればいつでも逢えます。
螢一さんもきっと同じです。
「だから嬉しくて……とても嬉しくて」
ふうっ、と、ウルドの溜息。
幸せいっぱい、幸せオーラに包まれた妹を見て、こめかみを押さえていた。
なんだか馬鹿馬鹿しくなってきたらしい。
「傍にいるってことは、ただ身体を寄せ合って生きて行くって事じゃないか……あいつも言うようになったね」
むしろベルダンディーが心配しているのは。
「でも、螢一さん、無理をしなければいいのですが」
螢一は無理をはじめると倒れるまで無理してしまうところがあって、今回もベルダンディーの為にと重ねてしまうのではないだろうか。
「そのあたりは「ミース」に任せて大丈夫さ。で、あんた、女神の仕事は今後どうするの?」
「ノルン」である彼女たちは「時の管理神」をやめることができないが、「人を救済する女神」としての仕事は別だった。人間(ひと)の幸福の波動を活動原にしている神属にとって、この仕事はとても重要なことで大切ことなのだ。一度「女神」の職についた者が辞職するってことは非常にまれではあるのだけど。
「生まれるまでは「休職扱い」にしていただこうと思ってます。それから先は螢一さんと相談して決めたいと」
「仕事来ないうちに「管理局」と「お助け女神事務所」に申請を出しておかないとね。ところであんたたち結婚式はどうするの」
「赤ちゃんを産んでから身体が安定するのを待って挙げようかと思います」
もちろん、螢一さんと相談してからですけれど。
「慌てることなんてないか。それだけ時間があれば螢一のほうもなんとかなるだろうし」
挙げるとしたらやっぱり「大聖堂」かしらね、一級神の結婚式だもの。
「大聖堂」は主に一級神の拝命の儀式や天上界の公式行事に使われる、とても神聖で神属が心の拠り所、誇としている場所なのだ。
「スクルドはどうしたのですか」
「上のテラスに出て行ったわよ」
最上階のテラス。
大理石と象牙の手すりの向こうに蒼い空と青い海が広がっていた。
ここの広さだけで地上界の(日本の)一般住宅の敷地ぐらいはあるのだからなんともはや。
雲ひとつない空から降り注ぐ日差しは四季で例えるなら初夏に近いだろう。もっとも、天上界には四季がなく一年中こんな気候なのだけど。
「スクルド」
「あ……お姉さま」
振り向いた笑顔はどこかぎこちなくて辛そうだ。
テラスを渡る風は強く、二人の長い髪をふき流していた。
「風、出てきたわね。中に入るね」
「何か悩み事があるのではないのですか」
屋敷の中に向かおうとする、スクルドの背中が止まった。
振り向かずに。
「何もないわ悩み事なんて」
あたしはいつも元気よ、と、振り向いてガッツポーズをして見せた。
「スクルド、
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