明日への翼
03 ……AFTER〜 天上界にて
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今日はあなたに紹介したい人があって連れてきました」
「三級神、森里螢一です」
「あなたが……そう、話は聞いてるよ」
もう一度礼をして立ち上がった時、奇妙な親近感と既視感(デジャビュ)を感じた。
どこかで、逢ったような……。
美少年だ。ショートカットの銀髪に銀の瞳。整った顔立ちは少年というよりも中性的な印象を受けた。体格はスクルドと同じぐらいだ。華奢な肢体を膝丈まである白衣のような長衣に包んでいる。技術者というよりは科学者のような服装だった。
「よほどベルダンディーと縁が深いんだね」
銀の瞳が見詰めている。
さすがに重圧のようなものを感じていた。ベルダンディーとはタイプの違う強い「神格」を感じる。
姿形で神属を評価してはいけないことの典型だろう。
──あ!
やっとわかった。既視感の正体が。
螢一は口をついて出そうになった言葉を慌てて飲み込んだ。
一級管理神ミースは、髪の色と瞳の色を黒にすれば、彼のかつての上司であり先輩である、藤見千尋にそっくりだった。
「手を見せて」
「は、はい、こうですか」
揃えて差し出された手をミースは穴の開くほど見ていた。
やがて。
「面白い、実に興味深いな──ねぇ、ベルダンディー。この子、僕に預けてみない?」
「えっ、ええっ!」
突然のミースの申し出に二人は言葉を失ってしまった。
「もちろんずっとじゃないよ。この子が二級神になるまで。つまり「研修生」だね」
顔を見合わせる二人。
顔合わせの挨拶みたいに思って来たのだけれど。まさかこんなことになるとは。
冷静になって考えれば、マシンナーズにも認められ、大天界長にも認められた腕を持つ男だ。こんなことは充分想定できていたはずなのだが。
「力だけは二級神ぐらいのものを持ってそうだし、そんなに長い時間ではないと思うよ。螢一君の努力しだいだけどさ」
どうすべきかと螢一は悩んでいるようだ。
ベルダンディーに視線を送るとただ静かな眼で見詰め返してくるだけだった。
螢一の意思に委ねたようだ。
「ね、どうする?」
ミースの問いに螢一は深呼吸をひとつすると。
「俺は──」
三姉妹、「ノルンの館」
中央の館の中の一室でくつろいでいたウルドは、一人で戻ってきたベルダンディーに眼を丸くしていた。
ベルダンディーは平然と、むしろにこやかに笑っていた。
「……それで、預けてちゃったの?」
「ええ。螢一さんの意思ですから」
ウルドは呆れ果てて物も言えないって感じだ。
「これから二人で暮らせると思ってたんじゃないの?」
「会いたくなればいつでも会いにいけますし、私にはこの子がいますもの。それに……。螢一さんが仰って下さったんです……「傍にいない時はもっと傍にいる」からって」
胸元に両手をあてて
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