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ああっ女神さまっ 〜明日への翼〜
明日への翼
03 ……AFTER〜 天上界にて
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天衣ではなく、ウルドは胸と肩の大きく空いた紫のロングドレス、スクルドが白とピンクのワンピースを身に着けていた。
 元気いっぱいに手を振るのはスクルドだ。
「きたきたっ、おねーさまっ、螢一!」
 ウルドはちょっと不機嫌な感じで、腕を組み斜に構えていた。
「おっそいっ、まったく何をやってるのよっ!」
「ごめんなさいねっ」
 二人が地面に着地する。
 姉に謝罪しながらもベルダンディーの頬はゆるみっぱなしだ。
 クロノがまぜっかえす。
「少しでも長く二人でいたかったんですよね」
「これからいくらでもいられるのに……それで、お腹の子供のことはもう話したの?」
「お腹のっ」「こどもっ」
 スクルドとクロノの声が重なった。
 頬を染めながら、「もちろんですよ」と答えるベルダンディーの後で、螢一は照れくさそうに頬を掻いていた。
 あいた口が塞がらないって感じのクロノはともかく、スクルドの反応が見ものだった。
 わたあたと手足を振り回した挙句、ぺたんとその場に座り込んで数十秒──石化している。
「あらやだ、おこちゃまのスクルドには刺激が強かったかしら」
「うっさいっ!」
 立ちあがると螢一に詰め寄った。
「いっ、いつのまにっ、どこでっ!」
「ははは……意外と立ち直り早いんだね」
 スクルドは愛想笑いをする螢一の胸倉を掴んで。
「ごまかされないわよっ、きっちり、話してもらいますからねっ」
「わかった、わかったから、手を放してくれよ、こうなったら逃げも隠れもしないからさ」
 渋々と手を放すスクルドだが。
 クロノが割って入った。
「ともかく、ここではなんですし、中に入りませんか」
 中央の館を取り囲む三つの館はそれぞれ「過去」「現在」「未来」の名前がついていた。
 「現在」の館の中。
 もちろんのこと、ベルダンディーの館だった。
 外の光をふんだんに取り入れている五十畳はある室内。豪華な調度品も眼を引いたけれど、多くの観葉植物と室内を流れる川、流れ落ちる滝など、普通ではなかなか見られないものまであった。
 卵形の足のない空中に浮かぶ椅子に身体を預けている一同。
「──まあ、ざっとこんなところかな」
「そこまで話さなくても……」
 スクルドの顔が赤らんでいるのは、話の中に多少なりとも露骨な表現が混じっていたからだ。
 上目遣いに螢一を睨んでいた。
「聞かせて欲しいって言ったのはスクルドだよ」
 意地悪な眼でスクルドを見ている。
「あんた、解脱してちょっと性格変わったんじゃないの」
「そうかな、自分じゃ気がつかないけど」
 ベルダンディーの頬もスクルドに負けずに桜色だ。
「螢一さんは、ずっと螢一さんですよ」
 なにもかわっていない、そう告げている。
 クロノがトレイに人数分のコーヒーを載せて室内に入
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