明日への翼
03 ……AFTER〜 天上界にて
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ことも珍しくありませんし。
「……と、いわれてもなあ」
まさか、天上界に来て自分で自分の名前を決めることになるとは思いもよらなかった。
このあたりは慣れっこになっているらしい。間髪をいれず。
「わかりました。明日の日没までに管理局へ連絡くださいますか」
「わかったよ、ありがとう」
礼を告げてカウンターを離れると、再びベルダンディーが腕を絡めてきた。
「では行きましょうか」
「行くって……どこに?」
「私たちの家にです」
わたしたちのいえ?
浮き上がると戸外への通路を急ぐ。
巡った通路はそのまま戸外へ通じていた。
群青の空と真っ白い雲。明るい日差し。初夏のような気候だ。
一面が緑の絨毯を敷き詰めたような大地に、白い建物が点在している。遥かに大きな都市のようなものが見える。あれがユグドラシルと大天界長の居城を内包する街。「ユグドラシル」だ。ちょっとややこしいが、世界の中心である街は、それを支えるシステムの名前を冠していた。
今後、街の名前には鍵括弧をつけて「ユグドラシル」としよう。
足元には今出てきた管理局の建物が見える。
あまりの高さに眼が眩みそうになった。落ちる心配など皆無なのに。
まだまだ、人間としての部分を残しているようだ。
「あれが管理局?」
「ええ、正確にはそのひとつですね。天上界全体にネットワークが張られていて、データーはすべてユグドラシルに集められます。つまり、システム全体(ネットワーク)が「管理局」なんですよ」
ベルダンディーは先にたって空を滑っていく。
どうやら、目的の場所は「ユグドラシル」とは反対側にあるらしい。
螢一に気を使ってペースを落としているが、それでもかなり早い。
「どこまで行くの?」
「もうすぐですよ」
螢一の感覚ではかなり飛んでいる。
眼下の大地は切れて、青い海が広がっていた。
遥か前方に島が見えてきた。
ほとんど起伏がなく平坦で大きな島だ。全体が森に包まれて中央に巨大な建築物が建っていた。
それを「家」と表現したら、日本のごく一般家庭はなんになるのだろう。
「あれが……家?」
「スクルドや姉さんも一緒ですよ」
大雑把に表現するなら、四つの建物、館に分かれている。中央の館を丸く均等に取り囲んで三つ館が立てられていた。ひとつの館が東京ドームぐらいの大きさと広さを有している。どれも同じぐらいの大きさだが、細かい装飾や色使いなど、それぞれ個性があって違っていた。
中央を取り囲む三つの館がそれぞれの──私室──で中央の建物が居間にあたるらしい。
なんとも、スケールが違うというべきか。
手近の館の前に飛んでいくと、玄関にあたる大きな門の前で、ウルドとスクルド、クロノが待ち構えていた。
ウルドもスクルドも共に女神服=
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