明日への翼
03 ……AFTER〜 天上界にて
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の現在の館」を住居としてユグドラシルに勤務し、非番の時にはミースに指導を受ける螢一の日々が続いた。
「ノルンの現在の館」の中。
目の前に大きな両開きの扉。
オリハルコンとプラチナの合金の扉には、大きく翼を広げた天使のリレーフがあった。地上界なら名工の一作であろうが天上界ではありふれたものだ。
螢一は所在なさげに扉の前をうろうろとしている。
スクルドが扉の正面の壁にもたれていた。
「落ち着きなさいよ。あんたがやきもきしてもどうにかなるものじゃないわ」
「そうだけどさっ、ベルダンディーって初産だし」
「大丈夫よ、ウルドにお母様までついてらっしゃるんだから」
苦笑するスクルドだった。
螢一の溜息。
「溜息つくと幸せが逃げてっちゃうわよ」
たしなめられて渋い顔をした。
扉の向こうではベルダンディーが出産の時を迎えていた。
螢一はスクルドの隣に背中を押し付けた。やがて義理の妹になるスクルドに。
「随分力をつけてるみたいだね」
「あはっ、そう見える?」
だったら嬉しいな。
「まだ一級神には遠そうだけれどね」
「はっきり言うわね」
「スクルドには下手なお世辞よりもはっきり言ったほうがいいからね」
スクルドはむしろ朗らかに笑い出した。
「まったく、螢一にはかなわないわね……そうよっ、あたしは立ち止まってなんかいられないんだからっ!」
黒髪を掻きあげてぐいっとばかりに胸を張った。
目の前の扉を通過して金色の光が溢れてきた。
数瞬のタイムラグの後、産声。
ウルドが、扉を控えめに開けて室内からで出てきた。
「おめでとう。可愛い女の子よ。さあ、素敵なママと可愛い娘に対面してあげて」
促されて室内に入っていくと小さなベビーベッドの前に案内された。
おくるみのなかの我が娘はどこもかしもまん丸で光り輝いているように見えた。
この娘が俺とベルダンディーの子供。
言い知れぬ感動に声もなかった。
申し訳程度の頭髪は黒だ。つぶらな黒い瞳で螢一を見て笑いかけてくれた。
「だぁ……」
伸ばした螢一の指を小さな手で掴んだ。まるで握手みたい。
スクルドも覗き込んでいた。
「パパだってわかるんだね……スクルド姉さんですよぉ〜」
叔母さんだろ。
突っ込もうとして螢一はやめた。それよりも。
ベッドに横たわるベルダンディー。
少し疲れているようだが、満ち足りた表情をしていた。
「螢一さん……」
「おつかれさま」
螢一はベルダンディーの右手を両手で握った。
「無事に生まれてくれました……わたし、私、お母さんになれたんですね。螢一さんとの赤ちゃんを……わたし」
「そうだよ。赤ちゃんも元気だよ。だからいまはなにも考えないでゆっくり休んでね」
「はい……」
ベルダン
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