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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、嗚咽する
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たことは。あのガキだってそんくらいわかってんだろが」
「いや、でもさ……」
「だああああ!うぜぇぞオマエ!半年以上も前の事でウジウジ悩んでんじゃねぇ!」
「うー……」
そう言われてしまうと、返す言葉もないのだけれど……。

───必要悪。

リリアの言う通り、あの時僕がやったことは、つまりはそういうことなのだろう。
あの時の僕には、ああいう方法しか思い付かなかった。
あれは仕方がないことだった、と。その後のボス戦で再会した時、キリトもそう言ってくれていた───けれど。

───でも、ね……。

キリトがあんなに疲れた顔をしながら、自ら一人になる道を選んでいるというのに。
あの時、全てのプレイヤーを敵に回すつもりで啖呵を切ったはずの僕は。
誰かと一緒にいることを、許されるはずのなかった僕は。今、こうしてみんなの好意に甘んじている。

───俺は……ソロでいい。

あの時、僕から目を逸らしながら、キリトはそう言った。

でも、本当なら。
本当なら、彼の立場にいるべきである人間は。
誰ともパーティを組むことなく、一人で生きていくべきである人間は。
キリトではなくて、僕でなければならないはずだったのに───


「───なんてこと考えてないよね、ユノくん?」


───不意に。

まるで僕の思えを全て見透かしているかのように、隣に座るシェイリが口を開いた。
彼女の口から語られたのは、今まさに、僕が考えていた通りの内容で。
完全に虚をつかれた僕は、何かを言おうとして口を開いたまま、何も言葉を発することが出来ずにいた。

「なんつーか、オマエ……本気でめんどくせぇヤツだな」
「うっ……」
そんな僕の様子から、シェイリが言ったことは図星だと確信したらしく、リリアが呆れ顔でこちらを見た。
言葉の端々から、内心うんざりしているといった様子が感じ取れる。

「ユノくん。そういうこと考えるの禁止って、わたし言ったよね?」
「……、うん……」
「今度そういうこと言ったら怒るからね」
「はい……」
次は怒るから、というよりも。
シェイリがこういう言い方をする時は、大体にして、既に怒っている時なのであった。

まあ、確かに……今のは僕が悪かっただろう。
まるで、あの日の───リリアと初めて出会った日の、繰り返しだ。

人の本心なんてものは、その人自身にしかわからない。人の心の中を覗くことなんて、誰にも出来はしない。
キリトが何を思って一人でいるのか、そのことをいくら僕が考えたって、答えなんて出るはずもなかったんだ。
ましてやキリトの代わりに、僕が一人になるべきだったなんて───そんなことを考えるのは、こうして一緒にいてくれる二人に対して、あまりにも失礼というものだろう。


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