つぐない
とあるβテスター、嗚咽する
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し続ければ、いずれは1000人を超える超巨大ギルドになるのではないかと言われている。
そんな《ユニオン》攻略部隊の活躍もあって、ここのところの攻略は、1層につき一週間前後のペースで突破できている。
この第21層が解放されてから、今日で5日目。これまで通りのペースでいけるとするならば、あと数日もしないうちにボス攻略戦が待っているはずだ。
恐らく僕たちも参加することになるであろう、ボス攻略戦が。
「攻略といえばよ……あの黒ずくめのガキ、ここんとこ見ねぇな」
「うん……そうだね」
何気なく持ち出された“彼”の話題に対して、僕は曖昧な返事を返した。
リリアの言う“彼”に関しては、僕が今、一番気になっていたことでもある。
黒ずくめのガキ───キリトを狩場やボス攻略で見かけることは、近頃すっかりなくなっていた。
「なんつーか、あのガキ見てるとよ、ラムダで腐ってた頃の自分を見てる気分になんだよなぁ。全身から根暗オーラ出てるっつーか、なんつーか」
「……リリア、根暗だったんだ?」
「!? ねねね根暗じゃねーし!根暗でもコミュ障でもねーし!」
僕はそこまで言ってないし、リリアの場合は根暗というより臆病といったところだけど……というのは置いといて。
彼の言いたいことは、何となくわかる。
───……よう、ユノ。
今から少し前、何層か前の迷宮区で偶然出会った時の───最後に会った時の、キリトの顔を思い出す。
まるで後ろめたいことでもあるかのように、僕から目を逸らした、彼の顔を。
数ヶ月前に会った時は、第1層でのボス攻略戦において臨時のパーティメンバーとして共に戦った、レイピア使いの少女───アスナと行動を共にしていたのに、僕の知らないうちにパーティを解消したのか、傍らに彼女の姿はなかった。
彼がいつからソロになったのかはわからかないけれど、たった一人、最前線の狩場で戦っていたキリトの顔は、傍目に見ても随分と疲れているように思えた。
───いや……やめておくよ。
僕が次のフロアまで一緒に行こうと誘っても、気まずそうな顔で断られただけだった。
そんな彼の態度に、僕は、自分が第1層で彼にしたことを───キバオウ達の見ている前で、彼を散々罵ったことを、まだ許してもらえていないものだとばかり思っていた。
今更かもしれないけれど、謝ろうか、どうしようか……そんなことを考えているうちに、キリトは一人で歩き去ってしまい、薄暗い通路の奥へと姿を消した。
それ以来、彼の姿は見ていない。
「やっぱり……怒ってるのかな」
「あぁ?まーだそんなこと言ってんのか、オマエ」
あの時のキリトのことを思い出し、自己嫌悪に陥りそうになった僕を、リリアがばっさりと切り捨てた。
「必要悪だったんだろ、オマエがやっ
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