つぐない
とあるβテスター、嗚咽する
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ターから抜いたスローイングダガーにライトエフェクトを纏わせた。
左右それぞれの手指の間に4本ずつ、計8本のナイフを挟み、アンダースローによる連続投擲を行う。
相手は顔を伏せて蹲っているため、このモンスターを投剣で攻撃する際に一番ダメージ効率のいい弱点部位───時計盤から覗く両目を狙うことはできない。
よって僕が狙うのは、両目の次にダメージを多く与えることのできる部位。即ち、頭頂部で振動を続ける二つのベルだ。
一撃を当てた際のダメージ効率こそ劣っているものの、両目に比べて体積が大きいため、投剣スキルの威力を発揮するには申し分ないターゲットだ。
青い光に包まれたナイフによる二連撃《ダブルニードル》が全弾命中し、塗装が剥がれるかのようにポリゴンの欠片が周囲に舞い散った。
「くたばれ!!」
間髪入れずに白銀のハルバードが丸太のような両脚を薙ぎ払い、技後硬直による攻撃の隙間を埋めていく。
リリアの連撃が終わる寸前に硬直から回復した僕は、次の攻撃に向けてナイフを構えつつ、一人で時計怪人と戦っているシェイリに横目を向けた。
「………」
いくらシェイリが戦闘センスに恵まれているとはいえ、一人で時計怪人の相手をするのは荷が重いだろうと思っていた……の、だけれど。
少し心配しながら視線を向けた僕が見たものは、シェイリの両手斧スキル《ワールウインド》によって自慢の筋肉を滅多打ちにされている時計怪人の姿だった。
どうやら僕の心配は、完全に杞憂だったようだ。
「避けちゃダメだよ〜!」
自身の筋肉に並々ならぬ思い入れを持つこの怪人は、その肉体美を傷付けられることを何よりも嫌う。
それを知ってか知らずか、シェイリの攻撃はそのことごとくが腕や脚の筋肉へと吸い込まれていく。
無邪気に繰り出される無慈悲な攻撃。
それによって削られた部位から、ポリゴン片がはらはらと落ちていく。
シェイリの猛攻から筋肉を庇いながら必死に応戦する時計怪人の姿は、どことなく哀愁が漂っていた。
……まあ、敵に情けをかけている余裕はないんだけどね。
それに相手は変態だし、容赦する必要はないだろう。シェイリ、その調子で頼むよ。
自慢の筋肉をボロ雑巾のようにされていく怪人に少し同情しながらも、目の前の敵に集中するべく余計な思考をカットする。
視線を戻すと、ちょうどソードスキルによる連撃を終えたリリアが、技後硬直に入ったところだった。
僕はすかさず四連続投擲技《フォース・テンペスト》を発動させ、瀕死の怪人に追撃を仕掛けた。
両腕を交互に使って四度、投擲された16本のナイフが無抵抗の怪人へと迫り、瞬く間に敵のHPを削っていく。
───あと、一撃!
「リリア!」
「任せろ!」
僕の声に応えるように、リリアの構えた白銀のハルバードがライト
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