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ウイングマン ウインドプラス編
■1■ 初詣
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健太が、まさか自分の格好を褒めてくれるなんて桃子からすれば予想外のサプライズだった。
「アオイさん、ありがとう」
涙目でアオイを見た。
「よかったね、桃子ちゃん」
そう言ってアオイは桃子をギュッと抱きしめた。


「ところでケン坊、勉強の方は進んでるの?」
神社に向かう途中にアオイが悪戯っぽく笑って健太に聞いた。
「あああああああああっそれは聞かないでえええええっ!」
健太は頭をかかえた。
「昨日だって夜遅くまで勉強してたんだから、今日は忘れさせてよぉ〜」
目を潤ませながら健太は懇願した。
「せっかく着物美少女3人に囲まれての初詣なんだから勉強のことはひとまず忘れてもいいんじゃないですか?」
桃子は少し照れながら健太をフォローした。
いつもなら少し引っ込み思案なのだが、健太に褒められて少しばかり調子に乗っているというのもあった。
「自分で言うのはちょっと……」
同じく引っ込み思案な美紅はちょっと引き気味だった
しかし、アオイの反応はそれとは好対照だった。
「いいね。桃子ちゃん、そうそう。その通りよ!」
笑顔で桃子の肩を押した。



3.
布沢久美子はカメラを持って神社の前で待ち構えていた。
しかし、待っているのは健太たちではなかった。
人目につかないように建物の物陰に影だ隠れてスクープを待っていたのだ。
久美子は失恋をしたばかりだ。
自分の彼氏だと思っていた人間はバルドが化けていたのだと知ってしまったのだ。
確かにあれから姿を現さなくなった。
そこ完全に自分で失恋したと思い込んだのだ。
失恋を自覚した久美子は、その状態から抜け出すためにそれしかなかった。
受験間近、中学3年生のこの時期、しかも冬休み!なのに久美子はまだ新聞部に在籍し、部活に打ち込んでいた。
マスコミ志望だけあって久美子は成績的には申し分無かった。慌てて受験勉強せずとも志望校はらくらく合格ラインに達していた。
新聞部も引退の時期は特に定められていなかった。顧問の先生も成績に問題がないのだからと口出しすることもなかった。
そんなわけで、久美子は正月にもかからわずスクープを追いかけていた。
「学校が休みになるとスクープは掴みづらいんだよねぇ〜」
初詣の人混みを眺めながら独り言を呟いた。
お蔭でこんな寒い中、出かける羽目になった。
久美子が考えたのは、初詣に来るカップル特集だ。
学校では内緒にしてても付き合ってる人間は結構いるらしい。
その決定的瞬間を捉えて、始業式に学校新聞で大々的に発表すれば結構話題になるのではないかと考えたのだ。
「オープンになって別れるヤツもいるかもしれないし……」
久美子はメガネをキラーンと光らせ不敵な笑みを見せた。
「ぐふふふふふ」



「何なのよっ!?  なんでこんなに
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