■1■ 初詣
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スースーする下半身を確認しながら腰を動かしてみた。
桃子の見立て通り着物の隙間から足元が見える可能性はあるものの、さすがに裾は長いしめくれて下半身が顕になる心配はなさそうだった。
「まあ、江戸時代にはパンツなんかなかったわけだし……」
桃子も自分のヒップラインを触って確かめてみる。
「まあ、着物ってこんなものなのかもしれないね……」
2人の納得した表情を見てアオイも満足げだ。
改めて美紅と桃子の着物姿を見た。
2人ともいつもとは雰囲気は違うが、すごく似合っている。同性ながらにかわいいとアオイは思った。
「ケン坊、喜ぶぞ、きっと」
サプライズに喜ぶ健太の姿を想像し、アオイは自分のアイデアに満足した。
健太は待ち合わせの時間に1時間前になってもまだベッドの中だった。
今日はアオイたちが家まで迎えに来てくれることになっていたのだ。
約束の時間の30分前になってようやく健太は目を覚ました。
しかし、まだ頭がうまく働かない。
とりあえずまずは歯を磨くことにした。何も考えずにできる行為だからだ。
「ああああ、これから美紅ちゃんたちと……」
美紅がどんな格好で迎えに来てくれるのか健太は妄想しようと考えた。
しかし、頭の中には数式が浮かんでくる。
せっかくの楽しい1日が始まろうとしているのに、頭の中は受験のことで頭がいっぱいなのだ。
「……初詣だっていうのに、なんで数式が浮かぶんだああああ!」
頭を抱えた。
頭を働かせるとろくなことを考えない。
健太はとりあえず、何も考えることをやめた。
いつみんなが来てもいいように着替えてボーっとすることにした。
「ケン坊っ!」
呼び鈴より先にアオイの声がした。
その声に反射的に健太のスイッチが入った。
急いで健太は階段を下りた。そして玄関に向かった。
ドアを開けるとそこにはサプライズが待っていた。
「新年、明けましておめでとうございま〜す」
晴れ着姿の美紅、桃子、アオイがそこに立っていた。
「うわっ!!!!?」
健太の顔がだらしなく緩んでいる。
アオイの思惑通りだ。
まさか3人が着物姿で現れるなど想像もしていなかったのだ。
感激だ。特に美紅の晴れ着には大絶賛だった。
「美紅ちゃん、いいよ!いい!」
健太の激賞に美紅は顔を真っ赤にした。
「ケン坊、私たちも晴れ着なんですけど!」
美紅のことしか絶賛しない健太に、アオイと桃子もちょっとむくれてみせた。
「も、もちろん、アオイさんもすごくいいよ! ピンクもすごく似合ってる!」
現金なものです褒められるとすぐに2人は機嫌を直した。
特に桃子は健太に褒められたことで完全に舞い上がってしまった。
「リーダーが似合ってるって褒めてくれたぁっ!!!」
ただでさえ人のファッションなんか気にしない
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