真相
[2/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「……知っていて、見捨てたのか? この子が助けを求めているのを見ていて……おまえ達は見殺しにしたのか?」
「うん………この子に罪はない、いや母親も、もっと言えば父親にだって本当は罪は無かった。私達もそれくらいには気づいていたさ……この子の家族もまた、闇の書に狂わされたんだって。だけど理屈で納得が出来なかった。見なかった事にして、自分を慰めていたんだ。その結果、この子が更に苦しむとわかってて……!」
「ヤガミを犠牲にする計画も心が痛んだけど、既に一人の少女を見殺しにした私達はもう止まれなかった。全ての元凶だった闇の書さえ無くなれば、きっと納得してくれると思い込んで、最後まで推し進めるつもりだった。結局あなたが止めたからこの計画はしなくて済んだけど、代わりに私達にはやらなくてはならない事を思い出した」
「それが、おまえ達がここに潜入した理由か。言わせてもらうが今更行動を起こすとは、わかってるだろうがあまりに遅すぎる。マキナの命は、このままでは明日の夕刻に尽きるんだぞ? 奴らの研究に散々利用されて、挙句の果てに使い捨てのように殺されるんだぞ?」
もう、何というか……あまりにも呆れ果てて物が言えない。被害者として加害者の家族に思う所があるのは俺だって想像できる。しかしな……これは無いだろう。当時は4歳だったと? それで実験体となる日々を送る事になったと? いくら彼女が加害者の家族とはいえ、やり過ぎにも程がある。それに加害者にされているマキナの父エックスも、実際にこうなる事を望んでいたわけでもない。物事が全てが悪い方向で成立してしまっている、それが11年前の闇の書事件の結末か……。
しかし……俺も似た境遇で育ったからわかる。マキナは俺と同じだ。俺と同じく、“愛を注がれず道具として育った子供”だ。それに現在15歳でフェイト達と同じくらいの見た目という事は、それだけマキナは成長に必要な栄養を与えられなかった環境に居たと考えられる。
虐待以上の事をしでかしたアレクトロ社にも罪はあるが、そんな環境に彼女を追い立てた連中もまた同罪だ。被害者だという“免罪符”は通じない、自分たちも加害者だという事を理解するべきだ。
周波数140.85からCALL。
『11年前の闇の書事件に関しては私もよく存じていなかったので、こういう事実があったとは知りませんでした』
「そもそもこちら側に来るどころか、あの旅すらもしていない時期だからな。違う世界の出来事なのだからお互いに知らなくて当然だ」
『そうですが……マキナ・ソレノイドの奪われた時間は決して戻る事はありませんわ。知らなくても早々に助けるべき存在だったのに……気付けなかった私達は、やはり無力ですね』
「エレン、そう決めつけるのはまだ早い。マキナはまだ助けられる。明日の夕刻までにSE
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ