第十五章 忘却の夢迷宮
プロローグ 再会は死の香りと共に
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「………………あ、ああ」
「へぇ……また子供に手ぇ出したの、あんた」
ますます笑みが深くなる。
何時しか凛の口調が変わっている事に、しかし士郎は気付いていない。
極度の緊張と恐怖により、思考の幅が狭まり上手く周囲の状況が掴めないでいたのだ。
「っぐ、ひ、否定は、しない」
波が引くように、そう、それはまるで巨大な津波が起きる前兆のように、すっと、凛の顔から笑顔が消える。
「で、何か言い分は?」
能面のような無表情を前に、数多の死線をくぐり抜け磨き上げられた士郎の“勘”が告げた。
―――あ、死んだわこれ。
人生最後であろう言葉。
故に、士郎は声を大にして口にする。
「悔いはない―――ッ」
士郎―――漢である。
「それが遺言かぁあああああああああああああああああああああああああッ!!!!」
怒声と大地が陥没する轟音。
ごっそりと腹が消えてしまったかのような喪失感と宙を飛ぶ浮遊感。
視界一杯に広がる茜色に染まっていく空が、士郎が最後に見た光景であった。
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