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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 肆
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サキにしか扱えない武器だ。

 だが、この一瞬だけならば……マサキの隣で戦ってきた彼女ならば。

「直球勝負はわたしの代名詞なんだからっ……!」

 ――その言葉通り、風刀《蒼風》はその刃を一直線に伸ばしていく。ただただ蒼色の刃は直球勝負で進んでいくと、樹木の巨人のコアを突き刺して貫通する。

 その間にも逆方向から、双・大剣士がその代名詞を構えて接近する。

「終わらせてやる! 断ち切れ! 極光、 天覇――神雷断!」

 風刀《蒼風》と二刀の大剣を同時に本体に食らい、樹木の巨人は遂に大地へと膝をつく。そのまま巨人が焦土となった島に倒れ込むと、まるでボスを倒したかのように同時に時間切れと化し、生き残ったメンバーはこの仮想世界から解放されていく――


「……あー、酷い目にあった」

「フラストレーションが溜まる終わり方ね……」

 そして現実世界では、リクヤとユカが空を仰ぎながら愚痴っていた。菊岡からの真摯な謝罪の――その謝罪を信じているのはどれだけいるかはともかく――後に、念のために病院での精密検査となった。特に樹木たちに閉じ込められた形になったリーファとユカは入念に、ということになったものの、その当の本人たちは何ら記憶に残っていないらしい。

「まあお小遣いも増えたんだし、結果オーライ……ナイスな展開だぜ、みたいな?」

「無理に言わなくていいぞ里香」

 そんなこんなで、他のメンバーが検査を受けている最中、病院の入院服のような物を着ながら待機していた。病室の前に二つの椅子があり、それぞれその病室に待機する形で。

「あの大剣と枝、消してくれたのマサキくんでしょ? ありがとね!」

「……さあな」

 クラッキングが出来るような人物はマサキしかいない訳だが、エミから顔を背けてどこかあらぬ方向を見る……のを、他の病室の前にいたホークが恨めしげに眺めていた。

「……何でどいつもこいつも相手がいるんだ……」

 そういう彼は、タブレットで訥々と文章を打ち込んでいた。実験段階の専用装置でのログインは、彼に少なくない疲労を与えていたものの、その隣に座っている人から脅迫されていたり。

「んン? おねーさんじゃ不満カ? 速く情報まとめろヨ、バカ弟子」

「いるなら最初から顔出せよ師匠……!」

 いつの間にやら顔を見せていた《鼠》の師匠――もといアルゴに、タブレットをカタカタと操作しながらホークは憎々しげに呟くと、それぞれの病室の扉が開く。最初に診察を受けていた、ここにはいないメンバーの診察が終わったらしい。

「お、ようやくか」

「よし! 診察だからな! 診察だから仕方ないな! という訳で師匠まとめるのは後で」

 その場にいた者たちがそれぞれ立ち上がると、アルゴがそ
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