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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 肆
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たところか」

 マサキが何をやっていたのかさっぱり分からない、といった様子の里香に、マサキ――雅貴は微妙な表情で返した。手持ちのノートパソコンでは、いくら彼だろうとあの枝と樹木の大剣の消失が限界で、それ以上のことは出来なかった。

 あとは、もう一つの世界にいる者のすること――


「うぉりゃぁ!」

 ――大剣と枝の鞭がなくなった樹木の巨人に対し、リクヤの二刀の大剣が右腕から肩にかけてを切り裂いていく。やはりその中には、ブラックホールのような空洞が広がっており、リクヤはそこにユカの姿を探すが誰もいない。

「どこかにコアが……」

 対するエミはリクヤと違い、慎重に囚われたユカにリーファ、コア本体を探していた。しかして有力な情報を得るより早く、樹木の巨人が全身から煙をあげながら耳をつんざくような雄叫びをあげる。

 恐らくは、大剣を失ったことによる必殺技の解禁。であるならば、ダメージを負ったエギル1人に耐えられる威力でないことは明白で、エミは急ぎ先程シリカから預かったある物を取りだした。しかしその樹木の巨人の叫びは、確かにその必殺技を放つ前の活性化のような叫びだったのだが、それとは別の意味を含んでいた。

 ……痛み、という。

「――――――!!?」

 そしてその叫び声が臨界点にまで達したと同時に、樹木の巨人の胴体が真っ二つに裂けるとともに、二人の少女を背負った黒衣の侍が彼の得物である日本刀を鞘にしまい、ブラックホールのような樹木の巨人の内部から飛び降りた。

「ショウキ!」

 リクヤの声に答えることはなく、ショウキはユカとリーファを背負って落下しながら、器用にもサブウェポンのクナイを構えると、今なお雄叫びを止めぬ樹木の巨人へと放った。その手にはリクヤと同じ腕時計が装備されており、何ということはなく、ショウキはホークの腕時計を装備しながら樹木の巨人の内部へと二人を救いに行っていた。

 そして内部と外部、2つの情報を総合したホークが結果を導き出し、ショウキのクナイが樹木の巨人のに突き刺さる。

「『――奴はそこだ!』」

 ショウキとホークの声が重なる。何が、とは言わなかったものの、わざわざ何がとは言わずとも明白なことだ。樹木の巨人に乗ったエミとリクヤは、その頭に刺さったクナイに――樹木の巨人のコアへと狙いを済ました。

「マサキくん……力を貸して!」

 エミがシリカから預かったのは、この世界でマサキのみが持つ風刀《蒼風》。マサキがログアウトした直前にピナに預けたものが巡り、今はエミの手の中にあった。風刀スキルは、あらゆる攻撃動作を状況に合わせて自由に選択することが出来るが、技を発動させている間は一瞬も気を抜かずに攻撃動作をイメージしている必要、という常人離れした集中力を持つマ
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