第椅子取話 肆
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、その隙にエミとシリカが樹木の巨人の足下に取り付いた。樹木の巨人はその二人には目もくれず、リクヤとエギルをそのまま圧殺せんとさらに力を込めていく。
「今!」
「はい!」
二人は樹木の巨人のコアを探るべく、その手に持った短剣と片手剣で手当たり次第に攻撃していく。樹木の巨人からすれば、まさに蚊に刺された程度の無視できるダメージですらないが、ホークに渡す情報としても有効な筈だ。
「やっぱりこんな足下にはないか……」
エミとシリカの必死の攻撃にも何ら堪える様子はなく、樹木の巨人は全く問題なくリクヤたちへの攻撃を再開する。やっぱりこういうのは、頭の上とかっていうのがセオリーかな――とまで考えたエミは、樹木の巨人の足下から離れて機会を窺う。
「こなくそ!」
リクヤとエギルがタイミングを合わせ、何とか押し付けられていた大剣をはねのけたものの、樹木の巨人は間髪入れずに再び振り下ろす。たまらず二人は避けたものの、まるでモグラ叩きのように大剣が島の大地に叩きつけられる。一撃一撃の度に地形が抉られていき、その抉れた大地すらも石つぶてとなってリクヤたちを襲っていく。
「くっそ! なら!」
「…………よし!」
樹木の巨人が大剣を振り上げようとした時、エミとリクヤがその腕にへばりつく。今まで感じたこともない風圧が二人を襲うものの、おかげで樹木の巨人の肩の部分にまで到達する。
「エギル! 悪いけどタンク役1人で頼むわ!」
「リクヤさん! エミさん!」
シリカの驚く声をバックに、エギルが樹木の巨人の一撃――いや二撃――を防いでいる間に、エミとリクヤは腕から肩にかけて駆けていく。頭か肩か背中か、コアがどこにあるか知らないが、ここまでくれば後は振り落とされないように気をつけるだけ――と思っていたエミとリクヤの前に、大量の鞭のようにしなる枝が樹木の巨人の肩から出現し、突如として二人を拘束するかのように襲いかかった。
「しまっ……!」
――た、とは最期まで言えず。勢いを殺さないように走っていたリクヤとエミは、突如として前方に出現した枝たちになすすべもなく襲撃される――かと思えば、その鞭のような枝がこの世界から消失していく。しまったと最後まで言えなかったのは、それら枝の消失が武器によって破壊された――とかではなく、まさにこの世界から消失した、ということからだ。
「……ここらまでが限界か」
――現実世界。マサキは今の今まで酷使していたノートパソコンを、ゆっくりと一息つきながら解放する。悲鳴をあげていたキーボードは安堵するように異音を止め、その画面は仮想世界の樹木の巨人のことを映し出していた。
「それで、そのクラッキングってのは成功したわけ?」
「……ピンチは救えた、といっ
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