第椅子取話 肆
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り輝く海が映し出された。エミはその違和感に足を止めて海を見ており、その背後から大量に樹木たちが移動していたのに気づいていない。
「……エミ!」
マサキは、柄にもなくノートパソコンに向かって声を荒げるが、その瞬間にエミを映しだしていた画面がブラックアウトする。ハッキングを受けていたと感じた仮想世界側から、ノートパソコンとの接続を切り離したのだろう。
「……クッ」
マサキはそう吐き捨てると、画面を復帰すべく再びパソコンのキーボードを叩き出した――
「どうなってるんだ!」
シリカをエギルに任せ、ユカを吸収した樹木を追い続けりリクヤは、もう何度目になるか分からない、疑問の声を虚空に向かって叫ぶ。しかしその声に答える者は、ゆっくりとリクヤを取り囲んでいく樹木たちしか――いや、1人いた。
『分からん……情報にはない、この世界にとっても訳が分からない状況だ!』
腕時計のようなものから現れるホログラム、情報屋のホークもこの状況では金を取るとか言ってはいられない。今回、彼はアミュスフィアとは別の規格からログインしているため、戦闘に参加することは出来なかったが、ユカを吸収した樹木の位置は掴み続けていた。今もなお、各地の情報を収集し続けている。
「訳が分からないのはこっちだよ!」
リクヤは半ば八つ当たり気味に、体当たりでそのまま押し潰そうとしてきた樹木を、大剣の一振りで軽々と一刀両断する。枝の鞭に匹敵するリーチを持つ二刀の大剣と、樹木を一刀両断する威力の攻撃。その二つを併せ持ったリクヤにとって、動きの鈍重な樹木たちはさして驚異ではなかったが、その敵の数が明らかに異常だった。
そう、まるで世界自体を相手にしているかのような。
「くそっ……きりがない!」
『どうやらここに集まって来てるらしいな……』
「ありがたくない情報だな!」
一体一体一体一体相手していてはきりがない。リクヤを取り囲み、一斉に枝を鞭のようにしならせる樹木たちに対し、二刀の大剣による回転斬りで周りの樹木たちを一掃する。そのままバックステップして、背後にいた敵を再び物言わぬ樹木へと戻してから、ホークが映る腕時計に確認する。
「ユカが吸われた木は遠くだよな?」
『ああ、大分離されてるな』
「なら考えるのは後だ!」
そして、今切り裂いた樹木の下半身を足場に、思いっきり空中にジャンプすると、大剣を一本鞘にしまい込む。リクヤに切り裂かれた樹木たちは、大地にズブズブと吸い込まれていき、再び樹木たちがリクヤに向け距離を詰めた。
「うおおおおぉぉッ!」
リクヤの雄叫びとともに樹木の葉が木々から落ちていくと、まるでカッターのようにリクヤを切り裂かんと飛んでいく。当然、空中に飛んだリクヤに避
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