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SAO−銀ノ月−
第椅子取話 肆
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が、すぐ真横にマサキの顔を映したウィンドウが出現する。

『安定したか……エミ、大丈夫か?』


 ――現実。一足先に仮想世界からの帰還を果たしたメンバーが、マサキの操作するパソコンの画面を覗き込んでいた。……もちろんそこには、樹木に吸い込まれたユカとリーファの姿はない。

「かーっ、やっぱログイン出来ねぇ! マサキ、そっちはどうだ!?」

 仮想世界を襲った異常事態にもかかわらず、菊岡を初めとする元対策室のメンバーからは何の説明もない。それに痺れをきらしたクラインが、再び仮想世界へのログインをしようとしたものの、アミュスフィアは何の反応も示さなかった。

『……うん、大丈夫だよ』

 そこでマサキが手持ちのノートパソコンでハッキングを試みた結果、何とかエミへの連絡を果たすことに成功した。エミは大丈夫だとは言うが、明らかに周りを樹木に囲まれている状況では、とても安心していい状況ではない。

「仮想世界の状況がおかしい。それは分かるか?」

『うん……なんかSAOみたいで、息苦しい……』

 エミもマサキと同様の違和感を感じているらしく、樹木たちからの距離を取ろうとしている最中のようだ。何とか出来ることの範囲を広げようと、マサキはノートパソコンを高速で叩きながら、エミへとオペレーターのように連絡を取る。

「ならログアウトを……」

『それはダメ。リーファちゃんがあの変な木に捕まったの! そっちにいない?』

「リーファちゃんが!」

「リーファさん……」

 リーファと関わりの深いレコンとルクスの驚愕の声をバックに、リーファ――もとい桐ヶ谷直葉が、仮想世界から帰還していないことを確認する。アミュスフィアは正常に機能したままで、強制ログアウトが行われる様子もない。

「……いや、こっちにはいない。なら、エギルやシリカがいた地点の座標を送る。合流してくれ」

 マサキがノートパソコンから出来ることは、今はそれが限度。エギルとシリカがいた――つまり、自分がログアウトした地点の座標を送る。ずっと同じ場所にいる筈もないが、何の手がかりもないよりはマシだ。

『……ありがとう、マサキくん』

「ユカも吸い込まれていた。無理はするなよ」

 現在あの仮想世界にいるのは、リクヤにシリカとエギル、エミにショウキ。樹木たちに吸い込まれてしまったのは、ユカとリーファ――と、マサキはそこまで考えたところで、ある違和感へと襲われる。今、マサキのノートパソコンのウィンドウには、島全体の座標とエミが映し出されているが、エミの画面の背景には木々たちが映っていた。

 ――エミの現在いる座標は、海を臨む海岸であるにもかかわらず。

『あれ? ここ、海――』

 そしてエミを映した画面の背景に、遂に青く光
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