3部分:第三章
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第三章
「そしてヴィシュヌの司る調和に入るな」
「創造、調和、そして破壊ですね」
「私が司るのは破壊だが」
「清めるものなのです」
破壊はだ。それだというのだ。
「創造されたものは調和されていくうちに次第に穢れも備えてしまいますね」
「どうしてもな。そうなるな」
「しかしそれは清められるのですから」
「私によりか」
「そうです。破壊により消えたもの、失われた命は創造によって蘇り」
輪であった。全ては。
「そうなるのですから」
「では私はそのものもその魂もか」
「清められているんのです。その貴方が何故」
「悪なのか」
「そうではないです」
これが夫である破壊神への言葉だった。そして妻のその言葉を聞いてだ。
シヴァは考える顔からだ。こう述べるのだった。
「では私は間違ってはいないのだな」
「全ては輪の中にあるのですから」
「その輪の一つ、清めを司っている」
「それが貴方なのですから」
「そうなのだな」
妻の再度の言葉を聞いてだった。
彼はその顔を晴れやかなものにさせてだ。こう話した。
「では私はこのまま司ろう」
「貴方の為されるべきことをですね」
「そうだ、それを司ろう」
こう話すのだった。
「そして世界を清めよう」
「そうされて下さい。そしてです」
「そしてか」
「その清めがです」
彼の司る破壊、即ち清めが何かも話す妻だった。
「貴方のこの世界への恵みなのです」
「破壊、それが清めか」
「そうなります」
こう話してだった。彼等はだ。
その悠久なるこのうえなく清らかなガンジスを見るのだった。それはあらゆるものを含み流れていた。そうしてそのあらゆるものを清めていたのだった。
破壊神の恵み 完
2011・5・28
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