第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月二日:『交わる道』
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────まるでゴリラのように厳つい顔の男が此方の存在に気付いたらしく、口を開く。
「……風紀委員、か。本当にお前達は……全てが終わってからでなければ来ないな」
「何ですって……!」
「そうだな。そんでテメェらは毎回迷惑を起こしてくれるよな────不良学生くん?」
重厚な、しかし抑揚の少ない、さながらコピー機のような声色で。手を離され、落ちた少年はそのまま泡を吹いて気絶する。
その男の挑発に、黒子が反応しかける。それを制するように、彼女の前に立つ。
「────此方はテメェらと違って暇じゃねェンだ、構ってちゃンは余所でやれよ」
「…………ほう」
両手で髪を掻き上げて、黒子や飾利の前では決して見せない暗部用の『悪鬼』としての表情を浮かべて、剣気を乗せた恫喝を。それを受けて、大男は初めて表情を変えた。
「……誰かと思えば、お前か。大体半年ぶりだな……対馬嚆矢」
「…………悪ィね、男に割く記憶容量は八バイト以下なンだ。初期ファミコン並みに飛ぶンで、自己紹介頼むぜ」
そのまま、腰に当てた右掌で『親指で押す』と『人差し指を回す』合図を出す。それに気付いた黒子は直ぐに辺りを目線のみで改め、飾利はスカートのポケットの中で何かを探る。その黒子と飾利は、嚆矢の影で見えはしまい。
「相変わらずだな……南蛮渡来」
「………………?」
知己に話すような大男のその物言いに、引っ掛かるモノがあった。半年前、こんな男に会っていたような気がして────
「────ッ!」
その思考の一瞬の隙、それを見逃されはしなかった。大男は、その巨躯からは想像も出来ない速さでもって肉薄し、もう目の前に迫っている巨大な右拳────を、“突キ小手返シ”で捉えて押さえ込む。
「────大した脚だな、武術……否、発条包帯か」
「……ああ、お前に見せるのは二度目だが……そちらも相も変わらず……大した腕だな、古流武術」
「俺も記憶してるさ、駒場 利徳……て事は、コイツらは『無能力者狩り』でもやってた訳か」
「察しが良くて助かる……そうだ……三人やられた。小遣い稼ぎ半分……遊び半分でな」
「だからやり返した、かァ? 知らなかったぜ、何時から学園都市はハンムラビ法典制度に移行したンだ?」
には至らず、見た目に違わぬ慮外の剛力を備える大男は嚆矢の『左手』による理合では押さえ込めずに、腕を伸ばして掌を絡み合わせた仁王立ちで。
背中越しに睨み合うような形で、同じ『技術』でありながらも正反対を体現する二人が鬩ぎ合
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