五十一話: 選択する時
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を捧げてくれるのか?」
「そんなこと言わないで―――あなただから全てを捧げられる」
「そうか……」
黒歌の強い意志の籠った言葉にルドガーは観念したように息を吐き紫色の空を見上げる。そして、ルドガーも何事かを決めて黒歌達の方に向き直る。そして、骸殻に変身する。その事に黒歌達は驚くものの誰一人として退くものはいなかった。その事が、黒歌達のどんなことがあってもルドガーと一緒に居るという意志をあらわしていた。
「君の想いはわかった。後は―――覚悟を示せ!」
鋭い目で黒歌を射抜き、そう宣言する。ルドガーは言っているのだ。
俺と一緒に居たいなら俺を認めさせてみろと。
「もう、二度とあなたを離さない!」
黒歌がルドガーの前へとゆっくりと進み出る。ルドガーはここで自分が負ければ文句は言わずに彼女と運命を共にする選択をするつもりだ。しかし、自分が勝った場合は彼女にはその覚悟がないと判断して再び離れるつもりである。一方の黒歌は負けることなど考えずに、ただ、彼に抱きしめられる温もりだけを考えモチベーションを高める。
黒歌達は誰かを犠牲にして確実に幸せをつかむのではなく、誰も犠牲にせずに危険な賭けをしてでも全員で幸せを掴むことを決めたのである。その過程で全員が死ぬとしてもそれはそれで構わない。仲間の犠牲の上になりたった幸せなど自分達は認めない。それがどれだけ青臭い理想だとしてもそれを貫き通してみせると心に決めていた。
「俺は君を守る!」
「守られるだけなんてもう、嫌にゃ!」
黒歌は仙術、妖術、さらには魔力を混ぜた禍々しいまでの巨大な球体を創り出す。そしてルドガーは黙ってそれが放たれるのを待つ。そして黒歌が放ったと同時に動き始める。小さい槍を無数に投げつけていき、止めに巨大な槍を携え、一直線に突っ込む。
「マター・デストラクトオオオオッ!」
放たれた一つの弾丸のように黒歌の攻撃を貫き、黒歌本人へと突き進んでいく。その過程でルドガーは殺してしまわないように手加減をしようと考えるが、それは完全なる油断であった。様々なエネルギーが胡散したことにより、発生した靄を抜けた先に見えたのは―――さらにもう一撃の用意をしている黒歌だった。
「誰も、一つしか作ってないとは言ってないにゃ」
「しまっ―――」
若干、悪戯っぽい笑みを浮かべた黒歌に慌てたルドガーはすぐに次の一手を考える。まずは、回避することだが、マター・デストラクトはその性質上横にそれるという事は難しい。無理やり止まるという手もあるが、それでは結局のところ直撃するだけだ。そうなると、このまま突っ込むしかない。さらに威力を上げて進めば二撃目と言えど貫けるだろう。しかし、そうなると―――
「
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