五十一話: 選択する時
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。でも、今のあなたと一緒に悲しんだり、怒ったり、喜んだり、楽しんだりすることは出来る。もう、あなた一人に辛い思いはさせない。幸せになるなら全員で幸せになって、辛い思いをするなら全員で辛い思いをしましょう」
そう言ってリアスはルドガーに笑いかける。その言葉は暗に全員で生き残るか全員で死ぬかのどちらかにしようと言っているようなものだった。ルドガーはその言葉に声を返すことも出来ずに黙ってうつむく。そこに彼の愛する人の声が聞こえてくる。
「ねえ、ルドガーは私と一緒に居たくないのかにゃ?」
「そんなわけないだろ! 俺だって君とずっと一緒に居たい! 君を抱きしめたい……でも、君だけは失いたくないんだ! 君のいない世界なんて俺には耐えられないっ!!」
黒歌の問いかけに堰を切ったように叫び始めるルドガー。もし、黒歌を失えばルドガーは間違いなくその命を絶つだろう。異常とも言える愛こそがルドガー・ウィル・クルスニクの本質なのだ。そんなルドガーに黒歌は分かっていたとばかりに優しく笑いかけて言葉を続ける。
「うん、私もルドガーのいない世界なんて耐えられない。だから―――死ぬ時は一緒に死の」
その言葉にルドガーは言葉を失う。二人が二人共、片方を失えば耐えられない。だから、死ぬ時は一緒に死のうというのだ。それは逆に言えばお互いがお互いを生かすために守り合うということにもなる。ルドガーは今まで彼女を守るという事ばかりに固執して守り合うという事を考えていなかった。彼は今まで見返りを一切求めず、自分が守って貰うことや、自分が愛して貰う事など考えていなかったのだ。
「ルドガーが私との約束をかってに破るから、私もかってに約束するにゃ。ルドガーがいくら破っても私が本当にするから無駄にゃ」
そう言って、黒歌は真っ直ぐルドガーの瞳を見つめる。それは長きにわたり受け継がれてきた大切な約束の結び方。
「あなたに尽くしたい、あなたが望む全てを叶えることを約束します。
あなたを守りたい、あなたを傷つけるもの全てを撃ち滅ぼすことを約束します。
あなたを支えたい、苦しんでいるときも悩んでいるときも傍に居続けることを約束します。
あなたを愛したい、この血肉も、意思も、魂の一欠片に至る全てを捧げることを約束します。
だから、生きている間も死んだ後も―――私の傍にずっと居てください」
その言葉はかつて彼が彼女に約束した内容とほぼ同じもの。それは愛の告白、プロポーズ。傍から聞いている者達によってはその愛がいささか重すぎる様に感じられるかもしれないが二人にとってはちょうどいい位の愛だった。ルドガーは少しの間、茫然とした顔をしていたがやがて掠れた声を出す。
「君は……俺なんかの為に、すべて
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