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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十四 追う者 追われる者
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早朝の散歩に出ていた彼と偶然会い、そのままなし崩しのようにサスケ追跡班に加わったキバ。
ナルに同意を求める言葉にシカマルは思わず非難の声を上げた。

「んだよ」
「…俺達の目的はあくまでサスケを連れ戻す事だ。大蛇丸の許に行っちまったら意味ねぇんだよ、メンドくせー」
スパイとして里を抜けたというサスケの事実は伏せている為、迂闊なことは言えない。勿論ナルにも本当のことは伝えていないので、シカマルは心苦しかった。

正直なところシカマルは、波風ナルをこの任務に参加させたくなかった。何故ならばつい先日、相談を受けたばかりだからだ。
大蛇丸の許へ行ってしまったアマルの件で。

仲良くなった友達が大蛇丸の許へ向かった…――こんな最悪の結末を迎え、たたでさえ心を痛めているのに、その上サスケを追わせるなど、なんて酷な事か。
だからと言って、何も言わないまま今回の任務に赴けば、途中で気づいたナルが単独で追い駆けてくる可能性がある。それを考慮すれば、最初からチームとして動いたほうがまだ安心だろう。


「おい」
先鋒を切っていたキバがだしぬけに後方へ呼び掛けた。
一列縦隊で行動している為、キバのすぐ後ろを走っていたシカマルはすぐさま全員に立ち止まるように命じる。同じ木の枝上に停止した彼らの傍らで、蜘蛛の巣が微かに揺れた。
「近いぞ」

くん、と鼻をうごめかすキバに倣って、ネジが『白眼』を発動させた。視線の先に捉えた敵の姿に、「つかまえた」と小さく笑う。

直後、他のメンバーに敵の位置や方角を伝えるネジ。彼は気づかなかった。
ネジ達がいる方向をその敵がじっと見つめている事を。




罠を張って待ち構える蜘蛛。芸術の如く紡がれた糸に絡まる蝶。
どちらがどちらの立場なのか。つかまったのは誰なのか。
今の段階ではまだ―――わからない。

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