八十四 追う者 追われる者
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間ならば即否定するような内容である。
だからこそ、綱手は今一度念を押した。
「任務本来の目的、波風ナルには決して悟られるな」
薄暗い森の中。
ぎゃあぎゃあと不気味な鳥の声が響き渡る木立の間を、六人の子どもが駆けてゆく。
不意に一人が立ち止まったので、サスケは訝しげに眉を顰めた。
「どうした」
頭上を覆う枝葉。その僅かな隙間から注がれる陽光がサスケの身を包み込む。
反面、サスケを囲むようにして佇む五人の音忍達は暗がりで顔が全く窺えない。
「…このあたりでいいか」
誰かが独り言のように呟く。その発言に疑問を抱いたサスケが口を開いた瞬間、背後から冷たい声がした。
「うちはサスケ、お前は…―――」
君麻呂に囁かれた言葉をサスケは最後まで聞いていられなかった。ガクリと膝をつき、地に伏せる。
気を失った彼の身体を五人の少年少女は見下ろした。サスケの身体に落とされた五つの影がまるで嗤っているかのように揺れ動く。君麻呂の言葉を引き継いだ多由也が「胸糞悪いが、」と舌打ちした。
「てめぇは計画の大事な大事な要だからな」
鬱蒼と生い茂る木々の中、『音の五人衆』たる彼らの表情には深い翳りとそして、一抹の喜悦の色が確かにあった。
「―――さっさと追い駆けてこい。木ノ葉の忍び共」
淡紅色の桜吹雪。
ちらほらと降る花嵐の中を突き進みながら、シカマルは気遣うような視線を後方に投げた。
木ノ葉の里を背に走る。今しがた里を出たばかりの彼らは、サスケを追い駆ける為に選抜されたメンバーだ。
隊長である奈良シカマル・犬塚キバ・日向ネジ・山中いの…―――そして波風ナルの五名。
当初シカマルが思い描いていた人員とは異なる構成である。というのも、一番連携しやすいチョウジは偶々、別任務で不在。同期の中で優秀だと思われるシノも偶然、特別任務にて不参加。
その為、チョウジと同じく長年チームを組んできた山中いのを選んだところ、彼女がナルに連絡を取ってしまい、今に至る。
いのが春野サクラを呼ばなかったのは恋のライバルとしてのプライドもあったからだろうが、実際中忍試験にて目を見張る活躍を見せたナルのほうが戦力になると考えたからだろう。
桜並木を抜ける。里より立派な桜の木はこんな状況でなければ、花見でもしたいところだ。現実逃避しそうになる思考を慌てて振り払ったシカマルは、先頭からの声に益々頭を抱えた。
「ちょうどいいじゃねぇか。ついでに大蛇丸の所まで案内してもらおうぜ。そうすりゃ、サスケと一緒にアマル…だっけ?そいつも連れ戻せる。一石二鳥ってヤツだ!な、ナル!!」
「……っ、おい、キバ!
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