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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十四 追う者 追われる者
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葉のスパイとして」


綱手がサスケの諜報活動を認めた理由のひとつには、自身の弟子であったアマルの安否が含まれる。彼女の無事を知るには、大蛇丸の許で誰かがが潜入捜査する他ない。
その為、今回のサスケの提案はお誂え向きだ。

だからこそサスケの諜報活動をダンゾウに知られるのは危険だと綱手は判断した。何故ならば、ダンゾウ自身が大蛇丸と繋がっている可能性があるからだ。場合によっては大蛇丸との取り引き材料としてサスケが密告されるかもしれない。そうなれば、サスケとアマルの身に危険が及ぶだろう。
故にいくら木ノ葉の為とは言え、裏で何をしているか判らぬ人間に真実を伝えるわけにはいかない。

そこで『根』が動く前に手を打つ。火影である綱手によって追っ手が派遣されているのであれば、流石のダンゾウも行動を慎むだろう。そう考える綱手だが、彼女はまだまだ甘かった。

現にサスケは中忍本試験真っ最中に一度『根』に殺されかけている。陰で動いていたナルトによって事無きを得たが、サスケの暗殺計画が実行に移されたのは確かなのだ。
しかしながらそのような過去があったとは露知らぬ綱手は、結論を自力で導き出したシカマルに対し「相変わらず、切れる頭脳だねぇ」と感嘆を通り越して呆れたような口調で苦笑った。

ややあって、一先ず咳払いした彼女は「とっくに気づいているだろうが今回のサスケの行動は任務の範囲内だ。だがお前はその事実を決して口外してはならない」と聊か凄みのある声音で告げる。
敷かれた緘口令に、シカマルは緊張した面持ちで了承を返した。


「――それでは、これより三十分以内にお前が優秀だと思う下忍を少なくとも五人以上集め、里を出ろ」
「優秀な、下忍ッスか」
「言っただろう。並み大抵の忍びでは歯が立たないと。それなりの実力は備わっていないと敵と鉢合わせた時―――――死ぬぞ」

綱手の云わんとする事を察して、シカマルは踵を返した。火影室から出る直前、足を止める。
「……サスケは俺にとっちゃあ深いダチってわけでも、仲が良かったわけでもねぇ」
己に課せられた任務内容を全否定するような言葉に、綱手は眼を瞬かせる。

「けど、何かにつけてスゲェ奴だと一目置いてた。だからまぁ…なるようになるッスよ」
肩越しに振り返って、シカマルは口許に弧を描く。同時に金髪少女の姿を脳裏に浮かべ、(めんどくせーけど、アイツの同班だけにほっとけねぇしな)と眼を細める。

火影の意を酌んだ上での発言。サスケが里抜けする理由とそれを見逃す訳を正確に理解したシカマルに、綱手は一瞬顔を伏せた。
「……ひとつ、いいかい?」
子どもに頼る己を自嘲しつつ、前々から気にかけていた事柄を口にする。

表向きはサスケを追うものの、その裏は里抜けを見逃すというこの任務は、正義感溢れる人
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