第3話「息抜きしてんのって、サボりたいだけの言い訳だろ」
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、口は固いから」
「……そうか」
若干疑いの念は残るものの、双葉は安心することにした。
次の言葉を聞くまでは。
「まぁ、お義兄さんには言っておきますがな」
銀時の方に向かって歩く岩田を、双葉は慌てて呼び止める。
「お、おい!なぜそうなる!?」
「だって大切な妹はんのファーストチュー奪われたんやさかい、お義兄さんには伝えておきまへんと」
「しなくていい!というより兄者はお主の兄者ではない!!」
「いやいや。これからなるやろから」
「ならん!」
「冷たいわ〜。にしても、お義兄さんに知られるのそんなに嫌でっか?」
「いや、それは別に……」
言って双葉は口ごもる。
確かに銀時に知られて困るものでもない。ずっと一緒に育ってきた中で、双葉と高杉がどんな関係になっているか薄々予想がついているだろう。
そうでなくても自由きままな兄なら、「ああそう」とあっさり言ってしまいそうだ。これは安易に考えすぎかもしれないが……とにかく、銀時に知られても別にかまわないと双葉は思う。
なら、こんなに焦ってしまうのは何故だ。
「ほな、ワイとデートしましょ」
「はぁ?」
突然岩田が言い出した提案に、珍しく間の抜けた声を出す。
「黙っとるからワイとデートしましょゆーとんのや。ええ話やろ」
「……お主にとってだろ」
にまにまと笑う岩田に、双葉は冷めた目で返す。
誰かに知られるのは別にかまわない。だが恋愛事は周囲に何かと影響を与えるものだ。色恋沙汰で場の雰囲気が悪くなるのは困る。
悔しいが、岩田の申し入れに素直に頷くしかなかった。
「ほなまた今日の夜に〜」
待ち合わせ場所を決めて岩田は砦に戻る双葉を見届けると、ふいに反対側の屋根で坂本の話を聞いている銀時に視線を向ける。
無自覚な嫉妬心。銀時に知られると知った途端の慌てぶり。
普通身内にキスの事を知られるだけで、あんな慌てた態度はとらない。
おそらく双葉は――
「……ほんまのライバルはお義兄さんかもしれへんな〜」
どこか困ったように、しかし微笑みながら岩田は呟いた。
* * *
おかしい。
戦うたびに自分の中の何かがうごめいて、それは日々増して強くなる。
胸の中でうごめくこの感情は――『悦び』だ。
血を見るとゾクゾクして無性に嬉しくなってしまう。
血を見ないと物足りなくて求めてしまう。
何だ?一体何なんだ?
――戦おう。
――殺そう。
――殺そう!
叫ぶ。
聞こえる。
心の奥から血の欲求が。
――違う。私は護るために戦ってるんだ。
――したくて殺してるわけじゃない。
何度も否定する。
耳をふさぐ。
だが、叫びが消えることはない。
――うるさいうるさい。私は……
「
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