番外25話『志半ば』
[6/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
」
「だから、さ? 今はまだいいんだ。こうやって頼れる船長がいてくれて、仲間たちと一緒にいれる。俺一人の力じゃなくてもナミを守れる……今はまだそれでいいんだ」
「……ハント」
ナミが何かを言いたそうな顔をしてる。
けど、もう少しだけ俺の自分勝手な言葉を聞いてもらいたい。
「なぁ、ナミ」
「うん?」
「俺はいつかナミを一人で守りきれるくらい強い男になるからさ」
「……うん」
「だから、もうちょっとだけ、まだ弱い俺を見放さないでほしい。いつかすごい強く俺になるから、それだけは諦めないから……ナミが怖がることなんてないくらいに滅茶苦茶強い俺になるから……だから……だから、もう少しだけ時間が欲しい……それまで、いっぱいナミを不安にさせるかもしれないけど……待ってほしいんだ」
俺は自分勝手だ。
アーロンに支配されてずっと苦しんでいたナミを助けられずにいて、何年もの長い時間をナミに味あわせておいて、それでもまだナミに待っていてほしいって言っている。
「……もう!」
ナミの、たぶんこれはちょっとだけふて腐れた声。
やっぱり自分勝手なことを言う俺にナミは怒るんだろう。情けない俺で本当にごめん。
「まだ時間がかかるから見放さないで待っていてほしい?」
この言葉に続いて返ってきた言葉は俺の斜め上だった。
「待っていてほしいなら私はいつまでだって待つわよ! ……けどあんた、私のことバカにしてんの!?」
「え」
「いつまでだって待たされても、私のことを守れなくても……私があんたのことを見放すわけないじゃない。ハントのことを嫌いになるわけなんか……ないじゃない」
「……ぅぇ?」
情けない声をもらしてしまった。
恥ずかしい。けど、それ以上にナミの顔に釘つげになってしまった。
なんで、そんなに悲しそうな顔をするんだろう。
なんで、そんなにやるせなさそうな顔をするんだろう。
「私は私を守ってくれようとするからあんたを好きなわけじゃない! ハントがハントだから! だから! だから私は――」
ナミと俺の視線がぶつかった。
ナミが目をそらして、それからそっと小さな声でつぶやく。
「――ハントが強くても弱くても関係ない、私はあんたが好きなんだから……見損なわないでよ!」
「……」
つばを飲み込む。
言葉が出ない。
恥ずかしい。けど、それ以上に嬉しい。
本当は謝るべきな気がする。でも謝るのはちょっと違う気がする。
だから――
「ありがとう、ナミ」
「……うん」
ナミと一緒に、なんだかおかしくて微笑みあう。
すごい幸せな時間だ。
ずっとこうしていたいとかちょっと思うけど、残念というか当たり前というか。今ここにいるのは俺とナ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ