番外25話『志半ば』
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「……」
目が覚めた。
反射的に体を動かそうとして、動かなかった。
動かそうとして痛みを覚えて動けないとかじゃない。全くもって動かなかった。
けど体の感覚は復活してる。単純に力が入らない状態だ。多分無理をすれば体は動く。
「……あ、目覚めた?」
ナミがいた。
なんとなくナミに触れたくて、でも体に力が入らなくて諦めた。
「……ルフィが勝った?」
「うん」
ナミが微笑みながら立ち上がる。
そのままこのテントのような空間の帳を開いて、俺に外の世界を見せる。そこには麦わら一味、空の人間、ゲリラの奴ら。みんなが宴を楽しんでいる姿があった。俺は結構なバカだけど、さすがにこの光景を見ればそれでわかる。
「……勝ったんだ……さすがルフィ、だな」
どうやって勝ったとか、それはあんまり興味ない。
流石ルフィ。俺が思ったのはそれだけだ。
「ねぇ、ハント」
「……ん?」
いつの間にかナミが俺の枕元にまで戻ってきていた。どうでもいいけど、こうやってナミを下から見上げるのは始めてだ。
……やっべぇ、超びじかわいい。
流石ナミ、とか思いつつもナミの顔が真剣だから俺も真面目にナミの言葉に耳を傾ける。
「また、落ち込んでる?」
「……え?」
「その……ほら、前の時みたいに……さ」
ナミにしてはあまり見られない、少し曖昧な態度で、もごもごと言う。
「えっと……前の時?」
うーん、俺、察しがいい人間だったらいいんだけど。
我ながらあんまりそういうの鋭いほうじゃないから、なんのことか全くわからない。そんな俺に、ナミはちょっと呆れたようなため息を落とす。
ご、ごめんよ、ナミ。
「ほら、クロコダイルの時みたいに」
……あー。
思い出した……っていうかなんのことか、やっとわかった。
つまり、ナミは俺のことを心配してくれている。
クロコダイルに負けて、バカみたいに落ち込んで、自分で自分を殺したくなっていた時ぐらいにまた俺が落ち込んでるんじゃないかって心配をしてくれてる。
……恋人に心配されるって……こう、すごい嬉しい。俺の体の調子がよかったら今すぐにでもきっと抱き付いてた自信がある。
体に力入らないからそれも出来ないけど。
だから、せめて口でナミの言葉に応える。
「心配してくれありがとな……でも、今回はそんなに落ち込んでないんだ、俺」
「……そうなの?」
「ああ、なんていうかさ。ルフィがエネルに勝ったっていうこと自体にはやっぱ驚いてるんだよ……はっきり言ってルフィじゃロギア系には触れないわけだし」
「うん」
「けど、それ以上にルフィならそういうありえないことを達成しても納得できるっていうか……そういうの
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