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第一章
破壊神の恵み
シヴァはだ。ある日瞑想から醒めてだ。
そのうえでだ。妻であるパールヴァティーに問うのだった。
「私は間違っているのだろうか」
「何がでしょうか」
愛らしい外見の彼女はだ。こう漆黒の肌に額にもう一つの目を持ち首に蛇を巻いている一見すると異様だが見事な顔の夫に対して問い返した。
「また急にどうされたのでしょうか」
「私は魔を倒す」
これもまただ。彼の務めである。
「しかしそれと共にだ」
「それと共に?」
「あらゆるものを破壊する」
言うのはこのことだった。
「それは正しいのか」
「破壊はです」
パールヴァティーはだ。夫が悩んでいるのを察してこう告げた。
「貴方が司るものですね」
「それはその通りだ」
「では特にです」
「悩む必要はないか」
「そうではないでしょうか」
こう夫に話すのだった。
「貴方が司るものですから」
「そうなのだろうか」
「そう思いますが」
妻はこう言うだけだった。
「それが違うのでしょうか」
「何かを破壊すればだ」
どうなるか。その破壊の神が話す。
「それで多くのものが失われる」
「それはその通りですね」
「そして多くの生命が死ぬ」
シヴァはこのことも言った。
「それは正しいのだろうか」
「死ですか」
「私は破壊により多くのものを壊し多くのものを殺している」
シヴァのその男性的で整った顔にだ。憂いが宿ってきていた。
「それは正しいのだろうか」
「しかしそれはです」
「それが破壊だな」
「貴方の司るものではないですか」
「確かにそうだ」
それはその通りだとだ。シヴァも認めるのだった。
「だが。破壊は悪ではないのか」
「悪ですか。破壊が」
「そうではないだろうか」
「そうは思いませんが」
「思わないのか」
「確かに破壊により多くのものが失われます」
パールヴァティーは事実を話した。そのことは否定できなかった。その大きな黒い目に確かな光を宿らせそのうえでの夫への言葉だった。
「実に多くのものがです」
「そして生命もまた」
「そうです。しかしです」
「しかし?」
「おいで頂きたいところがあるのですが」
ここでこう言う妻だった。
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