窮屈だ
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
窓際からは春の暖かい日差しが差し込み、部屋の中には紅茶の注がれる音が響いていた。
早乙女と俺は長机の端で本を読み、今日もなぜか部室に来て紅茶を注ぐ聖。
この光景は放課後の部室の日常となってしまっている。
本来聖はここにいなくてもいいのだが、何をどう間違ったのか2日に1回は部室に顔を出していた。
聖は紅茶を淹れ終ると俺と早乙女のところにカップを置き、俺の近くに置いてあった椅子に腰かけ、自分で淹れた紅茶を啜っていた。
早乙女の方に目をやると彼女もカップに口をつけているところだった。
俺も紅茶を飲もうとカップに手を伸ばした時に早乙女が口を開いた。
「そういえば、どうして聖君はここにいるのかしら」
「ブフゥッ!」
「うおっ」
早乙女の突然の疑問に紅茶を飲んでいた聖が口から紅茶を吹き出した。
おい、俺の制服にもろ掛かってんだけど。ブレザーに染みがついたらどうしてくれんだよこれ。
というより、こういうのって普通吹き出しても誰にもかからない設定だよね。
なんで俺にだけかかるの。
俺はモブだからそういう修正かからないんですね。はい。
なにこれ。悲しすぎる。
ひじりはハンカチで口元を拭きながら早乙女に言葉を返した。
「なんでって……。俺って部員だよね?」
早乙女の方見て話せよ。それに、そんな不安そうに俺のこと見ないでくれ。俺が聞きたいくらいだよ。なんでお前いんだよ。
「入部届けを出された記憶もないし……。私にもなぜあなたがここにいるのかわからないの。……もしかしてストーカー?」
「えー……」
えー……。早乙女からしたらコイツはストーカーの認識なわけ。こいつもしかしなくても自分の周りにいる男子全員ストーカーだって思ってんじゃねぇの?
こんな献身的なストーカー中々いないと思うぞ。
主に、お茶いれてくれたり教室の掃除してくれたりゴミ捨てにいってくれたり。
よくよく考えてみればその他雑用は全部あいつがやってるな。
まぁ、一応このままだと聖が報われそうにないので、助け舟を出してやることにした。
「そう簡単にストーカーって決めつけるのはどうかと思うぞ」
「あら。私のストーカーではなく羽武谷君の、と言う意味で言ったのだけれど」
「……色々とそれはやばいだろ。社会的に。それに雑用とかもやってくれてたんだし、細かいことは考えなくてもいいんじゃないのか?」
俺がそう言うと早乙女は少しの間考える素振りを見せた後、聖の方を見て言葉を発した。
「羽武谷君のいう事もそれなりに筋は通ってるし、それなり働いてもくれているので一応ここにいてもらってもかまわないわ」
それを聞くと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ