窮屈だ
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え、違います。男性なのですがこの男性に対しての検索を行ったところ管理局の事件で一件だけヒットしました」
事件という単語を聞いた途端、嫌な予感しかしなくなったが移動しながら一応聞いておくことにした。
「3日前にSオーバーの次元犯罪者が管理局と一戦交えています。名前はグールス・ホイットマン。ロストロギアを強奪したようです。ですが、彼は管理局の追撃を振り切り、どこかの管理外世界に逃げ込んだ模様で捜索が続けられています」
「ほっとけそんな奴」
「そうもいかないのです」
またもや嫌な予感がした。ご都合展開を俺は許しません、ご都合ダメ絶対。
「どうやら彼がかまぼこちゃんを連れているようです」
「おかしいだろ……」
☆ ☆ ☆
俺は早乙女にあれやこれやと理由をつけてかまぼこちゃんの回収に向かうことにした。予想外だったのは早乙女がついてきたことだった。もう暗いから帰れと言っても聞かなかったのだ。
一応、魔導師だということが悟られなければいいのだ。リミッターを普段からかけて魔力が感知されないようにしているから問題ないはずだ。Sオーバーとやりあおうなんて微塵も思わない。
(マスター。そこの路地を右に曲がって100メートル前方を対象が移動中です)
(わかった)
俺はフォルネウスの指示に従って道を進む。
「ねぇ、本当にかまぼこちゃんはいるんでしょうね」
「あ、ああ。……多分」
「はぁ、頼りない」
そんなこと言わないでください。私は見知らぬオーバーSに話しかけるなんて高等技術は持ち合わせていないんですよ。加えて言えば普通の人ともまともに喋れない。
(残り10メートルです)
グールスはもうすぐ目の前だ。それにもう後を追われていることには気づいているらしい。先ほどから、ちらちらと後を振り返っている。
「あの、ちょっといいですか?」
そういって俺が肩に手をかけた瞬間だった。
「さ、さわるなっ!」
グールスは声を荒げ、すぐさま俺と距離を置いた。腕にはかまぼこちゃんが抱えられている。
「その猫をすぐに返してください。その猫には飼い主がいて――」
早乙女は声をかけたが途中でグールスがそれを遮った。
「ぼ、僕を騙そうったってそうはいかないぞ。そうだ、僕はもう絶対に騙されないぞ」
「何を言っているのかさっぱりわからないのだけれど。早くその猫を返してもらえるかしら」
早乙女が再度グールスに呼びかける。グールスの態度に早乙女の言葉には多少のいら立ちが目立つ。
だが、そんな早乙女には目もくれずグールスは抱きかかえているかまぼこちゃんに話しかけ始めた。
「ぼ、僕が君を守るからね。安心してね」
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