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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、待ち合わせる
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ルシェとのお茶会から暫く経った、ある日のこと。
僕こと投刃のユノは、宿の部屋で一人、机に向かっていた。
目の前の机には、赤青黄色の三原色に始まり、金銀灰色、果てはオレンジやピンクといった奇抜な色まで、多種多様、様々な色合いの染料アイテムが並べられている。

「……はぁ」
机上に並べられた、おびただしい数の染料アイテムを視界に入れながら、本日何度目かになるかもわからない溜息をついた。
これで商売でも始めるつもりなのかと疑われても仕方ない程の量があるこのアイテムたちは、昨夜、いつものように買い出しに行こうとしたシェイリを引き留め、無理を言って担当を代わってもらい、街で買い集めてきたものだ。

第1層の頃とは違い、今では染料アイテムも十分な数が市場に出回っており、染料一つ一つの単価は決して高いわけではない。
一部の色を除いてレアリティはそこまで高くない上に、下層の敵からもドロップするとあって、攻略組以外のプレイヤーも狩りをするようになってきた今では、需要に対して供給が完全に上回っている。
非戦闘系プレイヤーならともかく、僕達のように最前線で戦っているプレイヤーにとっては、むしろ安い買い物であるといってもいいだろう。

そう、決して高いわけではない。
高いわけではない……が、しかし。
塵も積もれば何とやら。いくら何でも買いすぎた。

正直、最初はここまでやるつもりはなかった。
適当な色の染料と、元に戻す為の黒い染料、この二つだけを買って帰るつもりだった……の、だけれど。
露店で売られている染料を一たび眺めてみては、「もしかして、こっちの色のほうがいいんじゃないか」という迷いが生じ、なかなか踏ん切りがつかない。
そうこうしているうちに、どうせやるなら全色揃えてしまえ!という、半ばヤケクソにも等しい衝動が生まれてしまい、両親から「行動力を活かす方向を間違っている」とよく言われていた僕の、変な所で凝り性という性格が災いし、現状出回っている全ての色の染料を買い揃えてしまった。

一部の色を除いてレアリティはそこまで高くないとは言ったものの、その"一部の色"までも含めた全色を揃えてしまったことにより、僕の全財産のうちの何割かが消失したことは言うまでもないだろう。
その総額は……、いや、思い出すと憂鬱な気分が更に悪化するのでやめておこう。
とにもかくにも、迂闊にも起こしてしまった一時の気の迷いによって、一晩眠って頭が冷えた現在、購入したアイテムたちを前に、こうして頭を抱えているのだった。

うぅ……本当に何やってるんだろう、僕。
この前チャクラムを買ったせいで金欠だし、こんな買い物をしている余裕はなかったはずなんだけどなぁ……。


「……っと、いけないいけない」
いつまでもプチ鬱モードに入ってる場合じゃなかった。そろ
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