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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、待ち合わせる
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あたり、満更でもないのだろう。
もともと彼はヘタレに加えて寂しがり屋な面があるらしく、一ヶ月前に僕達と知り合ってからは、迷宮区の攻略にもちょくちょく同行するようになっていた。
あの洞窟での戦いにおいて、即席パーティであるにも関わらず安定した連携を取ることができていたので、迷宮区の攻略に彼が加わるのは、僕としても心強いところだった。

───それに、シェイリも。

一ヶ月前にリリアと知り合うまで、彼女は僕以外のプレイヤーとパーティを組んだことがなかった。
第1層でのボス攻略戦の時、僕が攻略組の面々に向けて啖呵を切ってしまったためだ。
彼女は僕を信じてついてきてくれた。けれど、そのせいで、他の攻略組のメンバーからパーティの誘いがくることはなくなってしまった。

それについては、負い目がないわけじゃない。
MMORPG初心者の彼女は、正式サービス開始日に僕と知り合って以来、ずっと行動を共にしてくれている。
だけど、本当にそれでよかったのか。初心者だからこそ、彼女はもっと多くの人と関わっていくべきじゃないのか。それを邪魔しているのは、他でもない、僕なんじゃないのか。
……そんな風に疑問を抱くことは、これまでに何度もあった。
彼女は気にしていないと言うけれど、それでも、やっぱり。

───ひとりは……さみしいよ。

あの時、シェイリが漏らしたあの言葉。結局、真意はわからなかったけれど。
もしもあれが、僕も見たことのない、彼女の本心なのだとしたら。
彼女は、寂しかったのだろうか。
いつも笑っているけれど、本当は寂しかったのだろうか。
そればかりは、僕にはわからない。
わからない───けれど。

あの日からずっと、僕を支えてくれた彼女には。
こんな僕を信じると言ってくれた、彼女には。
寂しい思いは、してほしくなかった。

「……って、おい待てコラ。何だそのクマは」
「えへ、可愛いでしょ〜。さっき買ってきたんだよ〜」
「クマのストラップ……か? へぇ、裁縫スキルがありゃそんなのも作れるんだな……っておい!やめろ馬鹿!俺の作った斧にそんなモン付けんじゃねぇ!!」
「え〜?可愛いよ?」
「んなモン可愛くしてどうすんだ!おいやめろ、柄にストラップ巻いてんじゃねぇ! やめろォォォォ!!」
だから今、こんな風に談笑している2人を見ると。
僕以外の人と、楽しそうに話しているシェイリを見ると。
何だか僕まで、嬉しくなってくるのだった。
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