つぐない
とあるβテスター、待ち合わせる
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れば速いほど着弾までの時間は短くなるというわけだ。
いくら僕のステータスが敏捷値に特化しているといっても、投げた瞬間に敵に当たるわけではない。なので投剣で敵を攻撃する時は、そこのところを微調整しながら投げている。
「次はここに関節がくるかなーとか、このスキルが発動する時の足の位置はここかなーとか、そういう場所を狙って投げてるんだけど……え、ダメなの?」
「………」
僕が言うと、リリアは思案顔で黙り込んでしまった。
……何だろう。僕の戦い方、何かまずかったんだろうか。
ちなみに僕は、武器を持った人型のモンスター───コボルトやゴブリン、オークといった敵を狙うのが一番得意というか、弱点部位に当てやすいので戦いやすく感じる。
顔面や各所の関節といった弱点部位が人間と同じだし、使ってくるソードスキルもプレイヤーと共通のものが多いので、モーションの出始めに投剣を打ち込んで技のキャンセルを狙うことができるからだ。
逆にクリティカル部位がよくわからないモンスターだと、比例して投剣の威力も下がってしまうので苦手だったりする。
あと、盾を構えて防御に徹してくる敵はどうしようもない。その場合はシェイリとスイッチして体勢を崩してもらうか、もしくはそのまま倒してもらう(恐ろしいことに、筋力特化の彼女はバックラー程度ならお構いなしに叩き斬ってしまう)ことにしている。
どちらにせよ得手不得手がはっきりしているというか、苦手な敵相手には完全なお荷物になってしまうのが悩みどころだ。確かにリリアの言う通り、極端すぎると言われても否定はできない。
せっかく体術スキルも取ってあることだし、そろそろ近接戦闘の練習をしてみてもいいかもしれないなぁ……。
「……でもなぁ。近接戦闘、苦手だしなぁ」
「おい」
───と、僕がそんなことを考えていた時。
今まで黙っていたリリアが、突然ソードスキルを発動させた。
両手槍スキル《ソニックスラスト》。初級スキルであるため威力は低いものの、予備動作や硬直が短く、相手を牽制する際によく使われるソードスキルだ。
「っ!?」
さっきまで普通に話していたはずなのに、突然、それも僕の真正面から、真っ直ぐに心臓部を目掛けて斧槍が突き出される。
驚く暇もなく反射的に身体が動き、ガントレットを嵌めた右腕でハルバードの石突きを跳ね上げ、急所を抉られることを回避した。
そのまま上半身を捻り、空いた左手で右脇のホルスターに入っているナイフを掴む。体を正面に向け直す勢いを利用し、返す手でナイフを投擲───しようとして、そこで気が付いた。
───ここ、圏内じゃん……。
咄嗟に迎撃態勢に入ってしまったけれど、よく考えたらさっきの攻撃が直撃しても何の問題もないのだった。
拍子抜けした気分でナイフをホルスターに戻し、リリアの
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