つぐない
とあるβテスター、待ち合わせる
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うも中身がヘタレなのを他者に悟られないよう、口を開けば誰彼構わず悪態をついてしまうという癖があるらしい。
まあ、彼の中身がヘタレだと分かった今となっては、悪態をつかれても多少イラッとするだけで済んでいる。
アルゴと初対面の時も色々とあったみたいだけど、シェイリの行った喧嘩両成敗の甲斐もあって、最近ではそんなにギスギスはしていないようだ。
もっともあの件に関しては、完全に彼の自業自得なわけなのだけれど。
更に彼のヘタレ具合は、武具のチョイスや戦闘時の立ち回りにも顕著に表れている。
武器にハルバードを選んだのは、敵との間合いを長く保てるため。
防具にプレートメイルを着込んでいるのは、敵の攻撃による致命傷を少しでも避けるため。
ついでに言うと、プレートメイルを着込んでいるからといって壁役《タンク》として立ち回るわけではなく、むしろ異様に鋭い直感(というより、ヘタレ故の生存本能のようなものだろう)により、敵の攻撃を回避することに重点を置いている。
それがどれほどのものかというと、金属鎧を着込んでいるにも関わらず、時として敏捷値特化型のビルドをしている僕をも凌駕するほどだ。
攻略組に属する一プレイヤーとして、その回避能力は尊敬に値するところではある……のだけれど、如何せん回避する度に叫びまくってうるさいので、あまり羨ましいとは思わない。
そんな裏通りの鍛冶師こと、ネカマ───じゃなかった、ハルバード使いのリリアだった。
「んで、今日行く迷宮区ってのはどんな所なんだ?」
「あれ、行ったことなかったの?」
少し意外だった。今までずっと1人で鍛冶師と攻略を両立させてきた彼のことだから、僕達とパーティを組んでいない時でも、ソロで様子見くらいには行ってるものだと思ってたのだけれど。
「ここんとこは素材集めばっかやってた。鍛冶師も廃業したわけじゃねぇからな」
「なるほどね。じゃあ今度、何か作ってよ。具体的にはチャクラムとか」
「アホか。チャクラムなんか作れねェよ」
「だよねぇ……」
駄目元で言ってみたとはいえ、こうもはっきり否定されると落ち込むなぁ……。
SAOで鍛冶師と呼ばれるプレイヤー達が習得する主なスキルは、《斬撃武器作成》《刺突武器作成》《打撃武器作成》の3つが主流となっている。
それぞれ作成できる武器の種類は文字通り、《斬撃武器作成》では剣や曲刀を、《刺突武器作成》ではレイピアやエストックといった細剣、《打撃武器作成》ではナックルやメイスといった打撃系の武器を作ることができる。
クラインの使うカタナのような、隠し《エクストラ》扱いのスキルが必要となる武器種についても、《斬撃武器作成》スキルの熟練度が上がるにつれて解禁されていくという仕組みだ。
ちなみに僕が投剣スキルで使っているナイフは刺突武器扱いに
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