つぐない
とあるβテスター、待ち合わせる
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女は情報収集と称して日々迷宮区を駆け回っているため、戦闘での立ち回りに関しては攻略組にも引けを取らない。
そんなアルゴ相手に格闘戦を挑むのは、いくらなんでも無謀というものだった。ちっ。
───閑話休題《それはともかく》。
準備を整えて外に出ると、予定の時間の7〜8分前といったところだった。
装備の変更とストレージのチェックを合わせても、およそ10分程度しか掛かっていないことになる。
改めて、SAOでの着替えは簡単便利だということを実感したのだった。
現実世界でこれだけの装備を1人で整えるとなると、どれほどの時間が掛かるのやら。僕1人じゃホルスターの装着すらままならないんじゃないだろうか。
まあ、それ以前に、こんな武装してる時点で警察行きになるだろうけれど。
「おう、待たせたか?」
と、予定の時刻より少し早く、3人目のパーティメンバーが転移門から姿を現した。
街を歩けば、すれ違った女性が振り返るであろう端正な顔立ち。
ロックバンドのミュージシャンにいそうな、流行りの髪型(僕は基本的に流行には疎いのだけれど、なんとなくそれっぽい)。
男にしては華奢な骨格ではあるけれど、長身の体躯がそれを補っており、貧弱な印象は受けない。
むしろ鋭い目付きと相まって、ワイルド系が好きな女性に大いにモテそうな外見をした成人男性だ。
鈍い光を放つ金属鎧を着込み、白銀のハルバードを肩に担いだ様は、まるでファンタジー世界に登場する騎士といった風貌だ。
パーティメンバーである僕から見てもかなり様になっている。
ただし、中身はヘタレ。それも類を見ない程のヘタレだ。
SAOには妹のアカウントでログインし、そのままデスゲーム開始となってしまったため、キャラクター名と外見が致命的なまでに一致していない。
両親が既に他界済みであるため、唯一の肉親である妹のもとへと一刻も早く帰還するべく、僕達とパーティを組んで攻略に挑むこととなった───
───と、これだけなら、いい話なのだけれど。
そもそも妹さんに無理を言ってナーヴギアを借りたのが、SAO内で妹にちょっかいをかける男がいるんじゃないかという、なんともまあ……な理由であるため、いまいち恰好がつかない。
他にも、実の妹相手に結婚願望を持っているんじゃないかという疑惑もあるため、いつの日か現実世界に戻れたとして、それはそれで妹さんが心配だったりする。色々な意味で。
「ううん、今来たところだよ」
「それ、待ち合わせの相手が可愛い女の子だったらよかったんだけどなァ……オマエじゃなぁ……。はぁ〜……」
「………」
ちょっとイラッっとしてしまった。後で誤射と見せかけて、後ろからナイフでも投げつけてやろうか……。
そんなイラつかせ系男子の彼はというと、ど
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