1.日々の崩壊
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たら、すでに世界は荒廃していた。ほんの数秒目を閉じていただけなのに。三人は驚きを隠せない、何が起こったか理解できない、という風に目を見開いていた。
校内から聞こえてくるたくさんの人の声が、校舎が少しずつ崩れていく音が耳に届く。そうしてようやく我に返って、動いた。
「っ!?やばい、崩れるぞ!ここは危険だ、早く降りよう!」
彼の声に頷き、隣で未だ呆然としていたシグレの手を引き階段を駆け下り始めた。途中でシグレも我に返り、自分で走り始めた。
下の階へ行くと、現状が理解できていない生徒たちが不安げな声を上げながらも外へ向かって階段を下りていた。教師ですら全く分かっていなさそうな顔をしている。上の階からはだんだんと人がいなくなっていった。教師はこんな状況でもきちんと生徒を誘導しているのだから、すごいと思う。「なんなんだ!?」「地震?」「いや、違うだろ!」、と外へ向かいながらも生徒たちの騒ぎは止まない。
混雑する階段、出入口、校門には全校生徒がひしめき合っていた。
佑那達が玄関までたどり着いたときには、そこは騒然としていた。外の惨状を見た生徒も教師も我先にと外へ向かい走り出していた。みんながみんな早く家へ帰ろうとしていた。それは、どうやら叶わなかったようだが。
佑那と二人はその光景にただ呆然とするしかなかった。
外に突然降り注いだ光。真っ白な光が音もなく降ってきた。
光が消えたその場には、ただ荒れ地が広がるのみだった。その部分だけが削がれたようになり、周りの景色から浮いていた。
そこにいた多くの人は、文字通り、跡形もなく消え去っていた。
声も出なかった。ただ息をのむ音と荒い呼吸音しか聞こえなかった。
世界は一瞬の静寂の後、けたたましいサイレンが鳴り響いたかのように突如騒音に呑まれた。
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