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カードゲームの相手
3部分:第三章
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「その通りだ。しかしもうだ」
 疲れきりながらも命が助かりほっとした顔でだ。彼はまた言った。
「ああした馬鹿なことは二度と言わないようにする」
「悪魔とでもカード遊びをしたい」
「そういうことをですね」
「そうだ。そしてもう」
 さらに言うのだった。その顔で。
「カードもだ」
「止められるのですか、もう」
「カードも」
「流石に懲りた」
 それでだというのだ。話す口調はうんざりとしたものだった。
「だからもうしない」
「左様ですか」
「旦那様がそうされるとは」
 彼等には信じられないことだった。しかしだ。
 ケンジントン卿はこの日から何があろうともカード遊びをしなくなった。幾ら誘われても断る様になった。それは何故か。死を前にしたからだとだ。誰もが囁き合った。この話はケンジントン卿自身も使用人達も話さなかった。しかし何処からか出て来て伝わり今にも残っている。カードをするにしても迂闊なことは言ってはならないということである。ケンジントン卿は何とか助かったが他の人間がそうなるとは限らないのだから。


カードゲームの相手   完


                 2011・9・26

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