4.茅場晶彦
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全く理解できないが思考を停止させないように、この状況を把握しようとする。しかし、続いてフードの下から発せられた言葉は、さらに俺を混乱させるには充分だった。
『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これはゲームの不具合ではなく、《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』
「し・・・・・・仕様、だと」
右斜め前にいた赤い長髪の青年がかすれた声で囁いた。が、俺にはそれに注意を払うほど余裕がなかった。なぜなら
ログアウトボタンってなくなってたの!?てか、気付けなかったのって俺だけー!?
と心の中で叫び、この中でただ一人落ち込んでいたからだ。
そんな俺の心境は知る由もなく話は続く。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
その言葉で我に返った俺は、続く話を聞いて驚きに目を見開いた。
外部の人の手による機械の停止もしくは解除はあり得ない。仮にそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、プレイヤーの脳を破壊し、生命活動を停止させる。
つまり殺すといったのだ。
はっきり言うと詳細はあまり理解できていないが、簡潔にまとめると、ナーヴギアの電源を切ったり、ロックを解除し頭から外そうとしたら、ユーザーを殺すと。茅場はそういった。
ざわめきが広がる中、それでも暴たりするものが出ないのは、全員がいまだ伝えられたことを理解できていない、もしくは理解することを拒んでいるから。
先ほどの赤髪の青年が隣にいる黒髪の少年に、そんなことができるわけがないだろう、と半ば叫ぶように問いただす声が聞こえた。けれど、俺はそれをほとんど意識していなかった。黒髪の少年が応える声も、聞こえてはいたが聴いてはいなかった。
頭の中に妙な感覚があった。感情では認めたくないこの状況を、”何か”が真実だと教えているような感覚だった。だが俺にはそれが不思議でならなかった。現実にいた頃にも何度か感じたことのあるもので、ここでは無いはずのものだと思っていた。しかし、この感覚は、もしかしたら―――
いや、それはありえない。なぜなら仮想世界。理解しているわけではないけれど、脳神経と機械をつなげているだけに過ぎないのだから。
それでも、もし、もしもあり得るのだとしたら・・・・・・?可能性はなくはない。現に感覚があるのだから。まあ、少なくとも今考えることじゃない。
周りのざわつきとは関係なく、俺は一人考え込んでいた。
『ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果』
俺が深く思考に潜りかけた
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