外伝:俺達はいつだって
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色を奏で、歌うのが大好きだから歌い続けている。結局は俺も自分の気持ちいい事がやりたいだけらしい。
= SAOクリアより数か月後 =
「………で、その結果パーティ連中と見事に仲違いしちゃいましてね。後はもう速さを追い求めて好き放題してるうちにSAO終了!現在はVRMMOのレースゲームで最速を求めて疾走している訳ですよ」
「おう、分かった。分かったからSAOの話をあんまりおおっぴらにすんな」
「あ、こりゃうっかり。そういえば皆リアルでSAOの話するのは嫌がるんでしたっけ」
我が道を突き進み過ぎてそんなことも知らない少年に話しかけられながら、俺は呆れ顔で歩き続けていた。というのも今の俺は家へ帰る途中なのだ。正直ちょっと面倒臭い奴に捕まったなと思っている。
あの時に歌を聞かせた彼はパーティ内で唯一の学生だったらしく、以降SAOクリア後も仲間とは会っていないそうだ。最速を目指し過ぎてALOにいた時期もあるが、今は最速をマシンで極めるために手を引いているらしい。
「……良かったのか?仲違いしたままで」
「いいんですよ、俺は速さの求道者ですからね。もとより誰もついてこれない道だったのです!」
自慢げにふふんと鼻を鳴らす面倒な御仁に少々辟易しつつ、これで良かったんだろうかと俺は少し悩んだ。
彼はそれで満足かもしれないが、止めるよう勧めた仲間は別の意図があったのかもしれない。紙防御の仲間が目の前で跳ね回っているのは見ていてさぞ心臓に悪かったことだろう。また、戦友が段々と前線について行けなくなるさまを見るのが辛くて、己を曲げてでもついてきてほしかったのかもしれない。今の彼はそういう事を考えてもいないようだった。
そんな風に妄信的になってしまった原因には俺にもある。このまま放っておいても実害はないし、今更それを指摘してどうなるという話でもないのだが……
不意に、脳裏をひとりの少女の顔が過った。
笑ったり怒ったり落ち着きがなく人一倍人の不幸を気にしてしまう、ハッピーエンドが大好きなその少女。きっと彼女がこの事を知れば悲しむか、どうにか和解させようとするんじゃないだろうか。
暫く黙考したのち、俺はポケットからメモ帳を取り出してある店の住所と時間を走り書きした。そしてそのページを破いて少年に手渡す。
「なんすかこれ?……ダイシーカフェ?」
「メモに書いてる時間に店に来いよ。行きつけなんだ、おごってやるよ」
「マジっすか!?行きます、最速で!!」
鼻歌を歌って喜ぶそいつの現金加減に苦笑しながら、俺は「帰ったらあいつらにも声をかけないとな」と頭を掻いた。
= =
昔は車椅子は手押しだったが、今では手押しせずとも搭乗者の操作と簡易AIの補助で勝手に動く自動車椅子くらいはある。俺はそ
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